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「橋下徹のデタラメ改憲劇場」を憲法改正派の私が警戒する理由=内閣官房参与 藤井聡

デマと隠蔽が横行した「大阪都構想」住民投票の教訓

実際、2015年の「大阪都構想の住民投票」は、まさにそんな「悪夢」そのものだったのです。

当時、大阪市長でもあった橋下徹氏率いる「大阪維新の会」は、大阪都構想=大阪市廃止解体(以下、都構想と略記)を主張し、最終的に、大阪市民を対象とした住民投票に持ち込みました。

この「構想」の最も「基本的事実」は、

(事実1)「大阪市の廃止
(事実2)「大阪市」が所持している権限と財源の一部を「大阪府」に譲り渡す

というもの。ところが、これら事実は市民にはほとんど周知されませんでした

例えば、大阪市長が開催した「説明会」では、「大阪市が廃止される」という最も基本的な(事実1)は、39回の説明会の中でただの一度も口頭説明されていなかったことが、その後の発話テキスト分析から明らかにされています。そして(事実2)については、その事実とは完全に乖離する、過剰に楽観的な財政見通しが繰り返し説明されたことも明らかにされています。
http://www.union-services.com/pps/pps%20data/2_5.pdf

しかも橋下市長からは、「国が都構想について問題なしと言った」等の、少なくとも4つの「虚偽」説明をしていたことも明らかにされています。
http://www.union-services.com/pps/pps%20data/2_5.pdf

ただし、「大阪維新の会」主催のタウンミーティングでは、さらに激しいデマやウソが喧伝されました。

例えば、そのタウンミーティングは、明らかに「人をだます」ために作られたと思わざるを得ない「詐欺パネル」が多用されました。
https://ameblo.jp/datoushinzoabe/entry-11995190678.html
(その様子は、下記レポートに詳しく記載されています)
https://www.dailyshincho.jp/article/2015/04230900/?all=1

とりわけ、住民投票の直前に放映されたテレビでの討論番組では、橋下市長の発言の48%、つまり「発言のほぼ半分」が「詭弁」(論理的ウソ)に該当するものであったことも、発話分析の学術研究から明らかにされています(なお、その対抗論者の詭弁率はわずか2.6%)。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/14/2/14_155/_pdf

さらに橋下維新は、上記(事実1)(事実2)の様な「事実」を主張する「学者」に対しては、理性的な「反論」をするのではなく、ただ単に言論をやめさせるための激しい「言論弾圧」の圧力を、自らが所持する市長や政党の「公権力」を使ってかけ続けました。
http://satoshi-fujii.com/pressure/

つまり、「都構想」の住民投票では「デマや隠蔽」が激しく横行したのです。

その結果、大阪市民には「都構想」についての客観的な「事実」がほとんど周知されないままに住民投票当日を迎える、という悪夢の様な状況となってしまいました。

実際、住民投票直後のサンプリング調査より、90%以上の人々が「都構想」の中身を「誤解」していたことが明らかにされています(上記の事実1、事実2の理解正解率はわずか8.7%)。
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2016/06/tanaka.kspring.pdf

なおこの調査データから、人々は事実を知らなければ賛成していたが(賛成率64.5%)、事実を知っていれば反対していた反対率87.5%)ことも明らかにされています。つまり、今回はたまたま僅かな差で否決されましたが、もう少し「橋下達のデマや隠蔽」の勢いが強ければ(あるいは、それに対する抵抗=レジスタンスがもう少し弱ければ)、事実を知る人なら誰も賛成しない様な「都構想」が、「可決」されていたに違いなかったのです。

誠にもって、恐ろしい話です。

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