租税回避商品のカラクリとは
「租税回避商品」というのは、だいたい「保険商品」が多いです。保険会社が、富裕層を相手に税金が安くなる商品を開発するのです。保険会社というのは、昔から、「租税回避商品」の開発を行ってきているのです。つまりは、法の抜け穴をついた「危ない節税」の手助けをして、金儲けをしてきたのです。保険会社には、そういう裏の顔があるのです。
たとえば、過去にこういう租税回避商品がありました。それは「生命保険」の体裁をとっています。その生命保険には、普通とはちょっと違った特徴があるのです。
会社が社長に生命保険を掛けた場合、原則として会社の経費に計上することができます。生命保険には、死亡したり入院したりしたときに受け取る「保険部分」と、満期になったり解約したりしたときに受け取る「貯蓄部分」があります。会社が生命保険をかけた場合、「保険部分」は会社の経費とできますが、「貯蓄部分」は経費とできなくなっています。
この「租税回避商品」は、契約の中で「保険部分」と「貯蓄部分」をあいまいにしてあったのです。そうすれば、どれだけ経費になるかもあいまいになります。その生命保険に入れば、保険料を会社の経費で落としながら貯蓄ができる、つまり税金を払わないで資産を増やす、ことができるのです。
たとえば、1,000万円会社の利益が出ていた場合、この1,000万円で生命保険に入ります。そうすれば、会社の利益はまったくなくなりますから、税金はかからないですむのです。そして5年後には、その1,000万円を保険会社から、解約返戻金などの名目で返してもらえるようになっているのです。
もちろんこんなことを許していれば、税務当局とすればたまったものではありません。会社が利益を出すたびに、生命保険の名目で蓄財され税金が取れなくなってしまうわけですから。だから税務当局は、この租税回避商品を使えなくなるような法律をつくりました。しかし、また新しい租税回避商品が作り出されています。そういういたちごっこが続いているのです。