溜まりつつある「円急伸のマグマ」
北朝鮮問題の緊迫化による円高は4月にもありましたが、トランプ政権が口だけで実行を伴わなかったので、危機はフェイドアウトしたかに見えました。しかし、これは北朝鮮の事実上のお目付け役である中国に100日の猶予を与えたためという見方が強くなっています。
このところ米政権内部から北朝鮮や中国に対し厳しい論調が戻っているのは、この猶予期間が今月16日で終ったことと無関係ということはないでしょうから、北朝鮮による地政学的リスクという点でも、円相場は再び円高に向かいやすくなっています。
こういったことを考えると、円側は今はモデレートな円高で留まっていますが、潜在的にはドル安分以上に上昇しやすいマグマが溜まっているといえます。
一気の円高進展のトリガーが何になるかは不明ですが、ファンダメンタルズを見誤ってのショート積み増しが既に余力一杯と思われる投機筋にとっても分かりやすい円高材料が横たわっていることを考えると、110円割れは勿論、4月の高値を更新するのも時間の問題かと思われます。
そして、円相場がこのように急伸マグマを抱えている以上、日本株も下押しリスクが高まっています。従来、日本株は基本は円相場連動でしたが、円高気味の場合は強い米国株に連動するなど、都度都度株高の材料を探して指数を維持してきた感が強いですが、円高の進展度合いが強い場合は、常にオーバーシュートして買われていた歪みが一気に開放されることで値幅を伴っての下げになると思われます。
このように、一見するとコンセンサスどおりだったFOMCでしたが、声明を踏まえての各アセットの動きから、近い将来のマーケットボラティリティの急上昇となる兆しを感じさせることになっています。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年7月31日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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