諸悪の根源?「サブリース」の本当のメリットとデメリットを検証する
ここまでは、今回のレオパレス21集団訴訟の中心であるLPオーナー会の前田氏にインタビューした内容を要約してお届けしました(お忙しい中取材にご対応いただき、誠にありがとうございました)。
さて、ここからは、「なぜ一部の不動産投資家はサブリースを使うのか?」「サブリースを使う派、使わない派の投資家は、それぞれどのような考えを持っているのか?」について、実際の投資家さんにインタビューした内容をご紹介します。
問題点が多そうなサブリースですが、まずは「使わない派」と「使っている派」両方の意見を聞いてみましょう。
サブリースを使わない派の意見
なぜサブリースを使わないのか?
・契約を解約すると全部空室になるかもしれないし、将来的に家賃を下げられそうで怖いから、サブリースが入っている物件の購入は避けている
・仮に周辺の家賃相場が下がっていなくても値下げを要求されそうで怖い
・サブリースだと、自分の裁量で賃貸経営ができなくなるので面白くない
・投資は無駄なコストをそぎ取って最大限に利益を追求する行為。サブリースはその投資の原則に反している
低需要エリアにサブリース物件を建設・購入してしまったらどうするか?
・そもそも需要のないエリアに物件を建設・保有した場合、どうやっても損失が出そう
・万一そういう物件を買ってしまったら、損をしてでも売る「損切り」を行い、高い授業料だったと思って自分を納得させるしかない
いずれもシビアな意見です。LPオーナー会でのインタビューにもありましたが、家賃減額や「全空」になるリスクもきちんと把握されており、さすが不動産投資家の意見だと思います。
インタビューする前から何となく分かっていましたが、やはり積極的に動いている不動産投資家の方は、自分の裁量で賃貸経営ができなくなるサブリースを好まないのですね。私自身も、自分で動きたい人間のひとりです。
では次に、実際に現在サブリースを使っている方の意見を見てみましょう。
サブリースを使っている派の意見
なぜサブリース契約を行ったのか?
・知識のない頃に投資を始めたため、他の選択肢を知らなかった
・サブリースの物件を購入する際に、初期費用が不要で買いやすかった
・(年収が2,000万円以上あり)節税目的で購入した
サブリースの良いところは?
・賃貸経営はあくまでサブであり注力したくない。本業のビジネスに集中したいため、面倒なことをすべて任せられるサブリースは便利だと考える
・賃貸経営のノウハウがないため、サブリースが楽だと考えた
・銀行の融資が通りやすい
サブリースを使っている派の方は、基本的に不動産投資はサブで、お任せしたいという思いがあります。本業が忙しく、また十分なお金を稼いでいるので、不動産に意識や時間を割きたくないということです。
使わない派と大きく違うのは、サブリース物件購入の目的に“節税”が挙がっていることです。資産形成やキャッシュの充実が目的ではないため、サブリースに係るコストに寛大な傾向があります。
不動産投資をやっていると、とかく敬遠されがちなサブリースですが、人によってはちゃんとそのメリットを享受しています。そういう意味で、仕組みそのものに良い悪いはなく、自分自身がどちらの立場で不動産と付き合っていくか、それが重要だと思います。