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ロックフェラーに喧嘩を売るトランプ。2017年のパワーバランスはこう変わる=斎藤満

「トランプのロックフェラー離れ」低インフレ・低金利は修正へ

もっとも、これで中東がロシア、シーア派系の秩序で安定するとも言えません。入り繰りがあるためです。

トランプ氏はロシアを同志とする一方で、イスラエルを最後まで守ると言います。そのイスラエルとイランは天敵の関係にあり、米国内にもイランに反発する勢力がいます。

中東では依然としてイランが不安定要素として残り、彼らはペルシャ帝国の復活を考えています。

同時にトランプ次期大統領は、ロックフェラー離れとともに、金融政策主導から、財政政策主導に大きく舵を切りました。その影響はすでに世界市場を動かしていますが、世界の政策にも、次第に金融緩和の終息、財政政策への転換が出始めています。

世界的な低インフレ、低金利が修正されようとしています。

日本でもゴールドマンの影響力増大

日本経済から見ると、ロシアが経済的苦境にあれば、経済支援が「ニンジン」になって北方領土平和条約への道が開けるかもしれませんが、ロシアへの経済制裁が解除され、ロシアが経済的に強い立場になると、日本の交渉力が低下し、領土問題、平和条約が遠のきます。

トランプ氏がISを攻撃することは、その背後にいるロックフェラー・グループに喧嘩を売るような面があり、結果としてロックフェラー系企業(エネルギー、金融、食品、化学)の影響力が低下し、一方でロスチャイルドの影響力が高まります。

すでに金融市場ではシティ・グループよりゴールドマンの存在感が強まっていますが、これもその一環と見えます。

読めない中国

その中で、中国の位置づけがもう一つ不透明です。

米国は先般親中派のキッシンジャー元国務長官を北京に派遣し、中国大使に習主席と親しい者を任命し、またトランプ陣営の中には米国がAIIBに参加しなかったのは間違いだという声も聞かれます。

しかし、同時に台湾総統と電話会談をし、為替操作や中国製品のダンピングを批判し、南シナ海への侵略も批判しています。

米国が中国を大国として承認し、経済協力を模索するのか、米国第一を脅かす存在として中国を叩くのか、まだ今の段階では読み切れません。何より、中国自身が読めなくて困惑しています

今般、東シナ海から中国船が日本の領海を侵犯してきましたが、これには米国の出方、トランプ氏の動きを探ろうとの意図もうかがえます。日本もしばらくは中国との関係を模索せざるを得ません。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年12月12日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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マンさんの経済あらかると』(2016年12月12日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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