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2017年 強気筋の予想「1ドル130円、日経2万3000円」に死角はあるか?=江守哲

ドル高の持続性に疑問符

さて、このような形で年末にドル円が急激に上昇することとなりましたが、私は依然として持続性には大いに疑問を持っています。

このドル高が起きた理由を考えた場合、様々な背景が浮かび上がりますが、そのひとつが、ドル高に歯止めを掛ける立場の人間の不在でしょう。もしかすると、これがドル高基調継続の最大の理由といえるかもしれません。

これまでであれば、ルー財務長官がドル高けん制発言を行うことで、ドル安・円高基調が保たれてきました。

しかし、トランプ氏の勝利で政権が変わることになり、同長官からの発言は一切聞かれなくなったこともあり、ドル円相場の動きに歯止めを掛ける立場の人間が不在の状況になりました。

今年のゴールデンウィーク時にドル円が急落しましたが、その際に日本サイドの円高けん制発言を全否定したのがルー財務長官でした。しかし、同氏は政権交代で退任します。つまり、現在のドル円の水準に言及する立場ではなくなったわけです。

このような状況を利用したのがヘッジファンドであるといえます。それまで円高に掛けてきましたが、トランプ氏の誕生でポジションを反転させ、トランプ氏への評価を一変させたことがドル円の急伸につながったわけです。

まさに、レイムダック化したオバマ政権の虚を突いた行動だったということになります。

ゲーリー・コーン氏の発言に要注意

しかし、これからは注意が必要と考えます。それは、トランプ氏が国家経済会議(NEC)のトップに指名した、ゴールドマン・サックス社長のゲーリー・コーン氏の発言です。

同氏は繰り返し「ドル高は米国にとって不利益」と発言しています。その同氏を指名したのがトランプ氏であることを考えると、トランプ政権がドル安を志向しているとの発言がいつ飛び出してもおかしくないといえます。

今の時点でドル高けん制が出てくれば、ドル円は5円単位での大幅な調整を強いられるでしょう。そもそも、ドル円の理論値は103円ですから、10円以上の調整があっても全く驚きません

市場が予想する「1ドル=130円」のハードルは高い

日米実質金利差からみたドル円は、きわめて割高です。

米国の実質金利は縮小傾向にありますが、その背景には、米国の消費者物価指数(CPI)と連動性が高い原油相場の上昇があります。

この二つは前年比でみるとほぼ連動しており、2017年の初めにも2%を超え、3%近くに達する可能性が指摘できます。

一方、日本のCPIと円建て原油価格には1年程度のタイムラグがあります。つまり、日本のCPIが上がり始めるのは17年後半ということになります。

このように考えると、日米実質金利差は当面は縮小傾向が続き、円高傾向になると考えるのが理論的です。その結果、理論値は103円程度という結果が導かれます。そのため、今後は激しい調整が起きても全くおかしくないということになるわけです。

このように考えると、市場が予想するように、130円への動きはかなり無理があるということになります。

Next: 1ドル120円を明確に超えなければ、2017年末までに100円水準まで調整も

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