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メモリ事業売却という一時しのぎ。東芝の迷走で一番損をするのは誰か?=栫井駿介

問題2 各国の独占禁止法審査

「日米韓連合」に決定したことで後退したリスクが各国の独占禁止法審査です。特に中国では審査に半年以上かかるとされています。今回の決定では、競合するSKハイニックスが議決権のない融資での参加ということになれば、審査すべき点はほとんどなくなります。

逆に、今からWD側に戻るとなれば、再び各国の独禁法審査が必要となり、2017年度末に間に合う可能性はほとんどないでしょう。8月に決定しなかった時点で、WDの選択肢は消えたと見ることができます。

問題3 半導体市場崩壊

時間がかかるほど上昇するのが、半導体市場崩壊リスクです。半導体価格は、これまでも一定周期での上昇と下落を繰り返してきました(シリコンサイクルと言います)。現在は明らかな上昇基調にあることで、半導体事業に2兆円という高値が付いているのです。
※参考:半導体ブーム ピークアウトはいつか?(窪田真之) – 楽天証券(2017年5月25日配信)

これが下落に転じようものなら、買い手は値下げや離脱も視野に入れて動くことになるでしょう。売却価格が下がれば下がるほど、東芝の債務超過解消に暗雲が立ち込めます。最悪の場合、売却できないということにもなりかねません。そうなると、上場廃止は決定的となってしまいます。

問題4 東証による審査

上場廃止に関して言えば、リスクは半導体事業の売却のみにとどまりません。「特設注意市場銘柄」に指定されている東芝は、現在東証による上場維持の審査待ちです。ここで東証がノーと言えば、有無を言わさず東芝は上場廃止となります。

不適切会計や度重なる有価証券報告書の延期など、東芝の内部管理体制はボロボロと言わざるを得ません。それでも「問題なし」と判断されるならば、日本の株式市場の信頼そのものが揺らぐでしょう。ただ、最終的には「政治的判断」が行われる可能性もあり、そうなれば市場関係者として嘆かわしい限りです。

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