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近づく米利上げに相場はどう反応する?大きな時限爆弾を抱えている日本株

いままでのNY株の6年間の強気相場を支えた物は(1)超金融緩和と(2)企業の収益成長性という両輪だった。そのうちのひとつが、今年中には「正常化」に入るとNYが先導した世界的株高の数年間が変調をきたす可能性はある。

米FRBは、年内ゼロ金利政策を解除する。既報で述べたが、日銀作成のグラフによれば、量的緩和の解除を言い出して、1年半の遅行性を以て日経平均の200日移動平均線が下がり始める。米に当てはめれば2016年には強気相場は終焉するということになる。

近づく米利上げは株価の上値圧迫要因になり続けよう。米は景気後退を脱して以来6年を経た。FRBの使命のひとつである「雇用の安定」については、失業率は10%台から5%台に低下した。FRBの使命のもうひとつ「金利の安定」に着手する時が来た。いつまでも「異常金利」ではFRBも困る。

利上げは株式市場の勢いを必ず損なう。ところがFRBに引き締めがNY株に与えた影響を検証できる事例は過去に僅かしかない。

【1】 94年2月に始まった引き締め局面

FRBは急ピッチで何でも利上げを行い1年半で引き締め終了した。FF金利は3%から5%に引き上げられたが、NYダウはその間、0.6%下落したにとどまった。

【2】99年6月から2000年5月までFF金利を4.75から6.5に引き上げ株式市場はその期間に0.3%下落したにとどまった。

【3】04年6月から06年6月まで17回連続で利上げし、FF金利は1%から5.25%になり、その間にNYダウは7.2%上昇した。そうなればFRB利上げとNY株価は無関係だということにもなる。

だが、それはその時の経済の状態によって、世界の状態、またNY株の状態によって異なるわけであり、この3回の事例しかない中を3回のNY上昇下降の平均値を出しても全く意味はない。ただ言えることは今までの6年間の延長線を想定することは難しくなろうと言うことだ。

NY株がもし下がれば日本株も下がる。だが、既報で何度も述べるように、下値には買い資金が待機しているし、市場のはそれを承知している、そういう市場は下がっても深押しはない。

日本株は、ようやく28年前(「15年前」ではない)の水準を取り戻しつつある。最高圏内にある米国・ドイツに比べれば超出遅れではある。だが企業分析的価値尺度から測れば日本株が割安ではなくなっている。

2月17日と18日の間に18,009円と18,092円という小さな窓があり、それはまだ埋まってない。もっと不気味なのは、中期的に見て次の3点である。いま、市場で話題になってないが、実は大きな時限爆弾を抱えている、それは3つある。

1;出口戦略なき超金融緩和 → あとで大きな混乱があり得る

2;延期されたボルカー.ルール → 発動されればヘッジファンドは持ち高解消に動く

3;BIS規制改変の効いてくる日が来る → 銀行の資産状況の不安定(これによって平成1桁時代の貸し渋りを誘発した)

米国株はファンダメンタルから見て割安では決してないこと。PERは20倍に達して、過去の強気相場の頂上と並ぶ。尤も日本では平成バブル時に85倍とかITバブル期の65倍などがあるが。アメリカが超金融緩和の「正常化」に向かえば強気相場のピーク時と同じレベルのPERは維持できない。

年内にFRBがゼロ金利政策を解除するということ。日銀の作成したグラフによれば、量的緩和の解除に向かってから1年半のタイムラグを以て、日経平均の200日移動平均は下がりだす。これは日本の場合だったが、アメリカでは量的緩和解除に向かうと言いだして、1年半と言えば今年末くらいになる。

ところが株価は買い勢力があれば下がらない。上がる。GPIFそのほかの公的資金が消滅したわけではない。売り越してきた個人投資家の待機資金が好機を待っている。また、必然的に買い勢力に変化する筈のカラ売り筋は28日に東証の発表によれば4年3カ月ぶりの高水準だと言う。カラ売り玉は株式の需給面では最もアテになる買い勢力に変ずる。

押し目待ちに押し目なしと言う。

山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年5月10日号)より一部抜粋

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