「ベーシックインカム」は新自由主義者のためのもの
新自由主義的な政策、もしくはグローバリズムの政策には、表面的にお化粧を施し、「国民のための政策です」と装っているものが少なくありません。その代表が、ベーシックインカムです。
ベーシックインカムは、元々は新自由主義の祖たるミルトン・フリードマンが言い出した政策なのですが、簡単に書くと「小さな政府」における社会保障です。
既存の公的年金、失業手当、生活保護、公的医療保険等、社会保障の制度は全て廃止。高所得者層から低所得者層へ所得を機械的に渡し、生き延びるために必要な最低限の所得を保障する。結果的に、社会保障支出が「削減」できる。
これが、ベーシックインカムです。
必ず「自己責任」が付きまとうベーシックインカム
低所得者層は、受け取る所得税(ベーシックインカム)で日常生活はもちろん、医療、将来の保証等を全て賄い、政府はそれ以上の面倒を一切見ません。
ベーシックインカムだけでは、非常事態(事故による負傷や重病等)に対処できない? そんなものは、自己責任です。
しかも、高所得者から低所得者に機械的に所得が分配されるため、生活保護の不正受給といった問題も出ません。ね、効率的でしょ? というお話。
低所得者層は、所得税を払うのではなく「貰う」ことになるため、負の所得税と呼ばれたりもします。
とはいえ、日本の政治家が「ベーシックインカム」と口にする際に、上記の「仕組み」について説明することはありません(一度も聞いたことがないです)。
国民は単に「え? 働かなくてもカネをもらえるの?」と、ベーシックインカムの本質に気が付かず、「良い政策だ!」などと思ってしまうわけです。
ちなみに、今回の総選挙において、ベーシックインカムを公約に掲げたのは、希望の党でした。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年10月8日, 9日号より
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