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「戦争前夜」の不気味な株高。割安を謳歌する東京株式市場の死角とは?=斎藤満

日本株の「移動平均かい離率」は最高レベル

現在のVIXが底値圏で、一段の低下余地は大きくないとすれば、米国株やジャンク・ボンドなどリスク資産への投資も強まりにくくなります。

相場の上昇はあっても緩やかになり、外部からの政治リスクや地政学リスクが生じる際にはVIXが急騰してリスク資産が売られやすくなる面も潜んでいますので、警戒が必要です。

米国株の上昇エネルギーが弱まり、為替でも円安余地が低下すると、日本株の買いエンジンも弱まるでしょう。日本株は、PERからすれば必ずしも割高感はありませんが、移動平均線からのかい離率は最高レベルになっています。

日銀のETF買いもあり、当面は高止まりを維持できるとしても、このレベルからは調整が入りやすくなり、いずれにしても深追いはしにくい状況です。

北朝鮮だけではない、世界でくすぶる火種の数々

相場に過熱感はなくとも、VIXにも表れているように、市場のリスクに対する意識は異常なまでに無頓着になっています。

しかし、現実の世界では、朝鮮半島のみならず、米中関係、トランプ氏のロシア疑惑、サウジの賄賂叩きと王家内の不安定化からイスラエル、イランなど中東全般への波及…といった政治的、地政学的リスクが世界に散らばっています。

しかも、米国のトランプ大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、日本の安倍総理、北の金正恩委員長、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と、各国のリーダーを独裁的な強硬派が占め、協調路線が後退しています。それだけ政治的な軋轢が大きくなり、軍事紛争のリスクは大きくなっているのです。

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