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任天堂に勝てるのは任天堂だけ。好発進Switch「Wii超え」の条件は?=安部徹也

ヒットの背景2:復刻版でかつての熱狂的なファンを呼び戻す

続いて2つ目に注目するのは、かつて大ヒットを飛ばした「伝説のゲーム機の復刻版を販売することによって、かつての熱狂的なファンにゲーム専用機の面白さを思い出させ、最新機器である「Nintendo Switch」の販売につなげるという戦略です。

任天堂は、2016年11月から、1980年代に一世を風靡したファミリーコンピュータの復刻版として、オリジナルサイズから40%ほど小型化した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」の発売を世界各国で開始しました。

この「ミニチュア版ファミリーコンピュータ」は、かつてのファミコンのようにカートリッジを差し替えてゲームを楽しむことはできませんが、最初から人気の高かったゲーム30種類を収録しており、価格はわずか5,980円(税抜)です。

1980年代にファミコンに没頭した熱狂的ファンのノスタルジーを誘い、発売が決定したニュースが流れると、「懐かしい発売されたら絶対に買う」といったコメントがSNS上を賑わせていました。

そして、実際に発売されるや購入客が殺到し、なかなか入手しづらい状況にまで人気が過熱します。

任天堂は、一旦、今年の4月で生産を打ち切りますが、その後も人気は衰えるどころか、益々欲しいというユーザーが続出し、中古市場で高値で取引されている状況が続いていたことから、2018年に生産を再開することを決定したのです。

また、任天堂はこのファミリーコンピュータの復刻版の成功を踏まえ、続いて後継機であるスーパーファミコンを小型化した復刻版ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」の発売に踏み切ります。

2017年10月5日に発売開始となった「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」も、21種類の人気ゲームを収録して価格は7,980円(税抜)と手頃なために、販売すれば即完売と定価ではなかなか手に入らない状況が続いているのです。

このように任天堂は「復刻版戦略」で、1980年代から90年代にかけてファミコンに慣れ親しんだユーザーをメインターゲットに、今では父親になったかつての熱狂的なファンが久しぶりにゲーム機を購入して子供と一緒に楽しむというシナリオを描いていたに違いありません。

最近はスマホゲームの全盛期ともいえますが、開発費もあまりかからず手頃な価格で投入できる復刻版のゲーム機は、かつてのファンを呼び戻すと同時に、その子供の世代を取り込むための戦略商品の役割を十分に果たしているのではないでしょうか。

Next: 任天堂が今後取るべき戦略とは?

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