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日本経済が長く委縮した諸悪の根源は円高!日本の景気は今年後半に加速する可能性も

日本の景気は今年後半に加速する可能性が

さて120円説は既に済んだことだが「10年内に200円」説は85年にNYプラザ・ホテルで5大国が集まってアメリカの有利に働くように善からぬことを悪だくみで決めた。それが「プラザ合意」である。米は自国の国益のためにはナリフリ構わず何でもやるという国だ。

そして急激に円高にされて、当時240円だった円が10年後には79円台にまでなった。この悪だくみを当時の竹下氏も日銀も大蔵省も理解できず竹下氏あたりは「円高は国力の現れだ」と言って円高容認していた。米に対するお追従のつもりだったかもしれないが本気で解っていなかった。野村証券も「円高=株高だ」と言いまわって事実、株は上がった。

しかし、日本経済が斯くも長く委縮した諸悪の根源は円高であった。その頃の240円時代より今の方がずぅッと国力は落ちている。その頃は経常収支は大幅黒字、今は大幅赤字、労働人口はその10年後から減り始めた。総人口も減る。古来、人口の減り行く国が繁栄したためしはない。古代ローマ時代でさえそうだった。そうすると「プラザ合意」の頃の240円に戻ってもまだ足りない、ということになる。「3年内に120円。10年内に200円」と筆者が言った頃「250円」と言っても良かったのだ。

日米の為替相場は中短期的には2国間の金利差で動く。米は秋から金利を上げる。日本は低金利を続ける。故に金利差は開く。だから中短期では円安趨勢の筈だ。ところが為替相場は国益のために国が介入するから市場としては不健全性を大いに発揮する。

「10年内に200円」というのは、国力からいっても言えることではあるが、国益のためには何でもナリフリ構わずやりまくる米国のことだから、そんなことは無視して自国の輸出のために、或いは「強いアメリカには適温のドルが要る」などとカッコつけて何をやるか判ったものではない。

米のGDP発表が市場予測よりも大幅に悪かった。これは輸出が振るわなかったからだ、そしてそれはドル高だったからだ、という世論になりつつあろう。ここで、米国が「為替市場の不健全性」を力づくで推し進めれば市場はその方向へ雪崩を打って進む恐れはある。

日本経済は年後半に強まろう。成長率が市場予測より大幅に上回った。民間内需の力であろう。景気先行指標で見ると日本の景気は今年後半に加速する可能性がある。そうなると経常収支の赤字と言うファンダメンタル面はそっちのけにされて「日本の国力が回復したから円高が至当である」という米の理屈を通そうとする動きが出る恐れはある。短期的には一旦円安を演じようが来年は105円に向かう可能性が高い。

山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年5月31日号)より一部抜粋

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