さらなる金利上昇、相場下落の余地がある
逆VIX指数投資以外にも「バブル崩壊」的な現象はみられます。ビットコインなど、仮想通貨取引でも相場が急落してピークから3分の1以下になったものも少なくありません。米国10年国債利回りの2.8%台は、それ自体、現在の米国経済の成長スピードから見れば決して高すぎず、むしろまだ低すぎるくらいです。裏を返せば、昨年秋につけた2.1%割れの水準がかなりのバブルでした。
その国債利回りが、わずか4か月余りの間に0.8%も上昇しました。高金利債券なら0.8%程度の上昇でも価格の下落は知れていますが、2%という低金利国債のもとで0.8%も金利が上がると、価格の下落は逆に大きくなり、債券保有者は損失が大きくなって、持ちきれなくなります。現に3月決算を前にした日本のメガバンクは売却を余儀なくされたようです。
そして2.8%台の利回りはまだ実勢に比べると低すぎる面があり、さらに金利が上昇し、相場が下落する余地があります。債券相場の下落、仮想通貨のバブル崩壊と連鎖して、市場のボラティリティが急上昇し、株価の大幅下落、逆VIX指数商品の相場も大暴落しました。市場は突然嵐に襲われた形になりました。
「3月利上げ」はできるのか?
先に紹介した3人のFRB幹部も、さすがにこうした動きを無視できなくなりました。金融市場にも一部に3月利上げはできるのか、との不安の声が出るようになりました。こういう状況になると、FRBにとっては、利上げをしても、利上げを回避しても、どちらにしても市場に影響を与えてしまいます。
そもそも、市場が不安定で、市場が利上げを織り込んでいない状況なら、さすがにFRBも利上げはできません。しかし、今のように、株や債券市場は不安定ながら、景気は好調で、市場が先物市場で約9割、短期金融市場で7割弱の利上げ織り込み、という状況では利上げも不可能ではありません。
それでも、金利とは別にFRBはすでに保有資産を圧縮し始めていて、国債についても当初は月に60億ドル、年明けからは120億ドル、4月からは180億ドルと、圧縮スピードを速めていきます。この量的引き締めと合わせて利上げをするので、市場が十分に織り込んでいないと、長期金利の上昇、株価下落のリスクが大きくなり、相場が下落すると、それが景気の冷却効果を持ちます。
それだけ利上げショックが大きくなり、経済への引き締め効果が大きくなります。FRBはそれでも「中期的に中立な水準より低く、依然として緩和的」と説明するはずですが、利上げの影響は大きくなります。