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音楽配信サービス「Spotify」が“基本無料ビジネス”の最高峰と言えるワケ=シバタナオキ

Spotifyがフリーミアム界の最強モデルである理由

ここまで書けば、もうお分かり頂いた方も多いかもしれません。

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粗利益を見てみると、有料モデルの方は2017年の1年間でEUR806M(約1兆478億円)、広告モデルの方はEUR43M(約559億円)となっており、まだまだサイズ的には有料モデルの方が大きいわけですが、成長率を見ると広告モデルはYoY+223%と、圧倒的な成長スピードを見せています。

Spotifyがフリーミアムビジネスとして最強であると言える理由は、この、無料会員からも粗利益が取れるだけの十分なマネタイズができている、という点に尽きます。

通常、フリーミアムの場合、無料会員からは十分なマネタイズができずに、無料会員が増えれば増えるほどコストがかさんでしまう、という傾向にあります。しかし、Spotifyの場合は(Marketing costを除けば)、無料会員がずっと無料会員のままいてくれたとしても、アクティブに音楽(と広告)を聴き続けてくれている限りにおいては、どんどんマネタイズができていく、という仕組みが既に構築されていることになります。

実はこのモデルこそ、Apple MusicAmazonプライムの音楽ストリーミングサービスとの、最大の差別化要因だと個人的には考えています。

AppleやAmazonは有料の会員だけを獲得しようとしているわけですが、Spotifyは無料会員もどんどん獲得し、無料でいる間もマネタイズが十分できるため、急いで有料会員にコンバージョンしようとする必要もないとも言えます。

以上はSpotifyのビジネスの概要になりますが、最後に簡単に、経営陣や社外取締役への報酬として、株主名簿もおさらいしていきたいと思います。

経営陣の報酬

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経営陣への報酬は、現金での支払いがアメリカドルで約$0.4M(約4,000万円)程度、CEOに対しては$1M(約1億円)のボーナスが2017年に支払われています。

共同創業者であるCEO以外の経営幹部に対しては、$1M(約1億円)から$4M(約4億円)程度のストックオプションが付与されている、という具合になっています。

社外取締役への報酬

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社外取締役の報酬は、原則株式の付与によって行われており、年間約$0.3M(約3,000万円)程度の株式が付与されていることになります。

Next: 株主名簿も特徴的。創業者の2人が議決権の80%を確保している

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