投資家たちも中国当局の「数字いじり」に寛容
中国国家統計局が出す経済指標が、毎回、改ざんされていることは、エコノミストの間では、もはや常識です。
下図は、上海総合指数の過去10年間の推移です。
中国株は、2009年8月から2014年7月まで、緩やかな下降トレンドを描いて下落し続けました。理由は、金融当局が金融緩和から一気に金融引き締めへ転じたことです。
しかし、2014年7月の大底からは一転して上昇に転じ、その後、わずか1年間で中国株は2.6倍の上昇を遂げたのです。
投資家たちは、「こんなことが、起こるはずがない」と口々にぼやきながらも、「市場が素直に反応しているのだから、中国国家統計局が、多少、数字をいじくったとしても問題になるレベルではない」と、こと中国に関してだけは、なぜか寛容です。
中国人だけでなく、海外の投資家たちも、このようにして中国国家統計局の改ざんデータを容認してきたのです。
人民元の流出を食い止めるためなら何でもやる中国政府
中国市場爆上げの本当の原因を突き止めるのは、比較的容易です。下図は、中国の外貨準備高の推移です。
中国株が底をつけた2014年6月の外貨準備高は、過去最高の3.99兆ドルでした。
しかし、ここから2015年12月まで、約4兆ドルから3.3兆ドルまで「ありえないスピード」で一気に減少していったのです。
それでも外貨の流出は止まらず、2017年1月末には、2.998兆ドルと、とうとう3兆ドルを切ってしまったのです。
中国で何が起こったのかというと、株式市場から資本の流出が止まらないので、中国の金融当局が保有していた外貨準備を取り崩して、人民元を徹底して買い支えたのです。