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米経済のピークアウト感が見え隠れ。米朝接近を横目にイランで起きていること=近藤駿介

落としどころが見えない「イラン問題」

「キューバ危機」や「リビア方式」という過去の事例を共通認識として水面下での交渉がなされ、ピークを超えた北朝鮮問題。

それに対してイラン問題には、共通認識となる事例はなく、水面下で交渉が行われているにしても落としどころが見えない状況にある。

奇しくも、週明けの14日には米国のイスラエル大使館がエルサレムに移転され、その式典には最近表舞台にほとんど出なかったユダヤ教徒であるクシュナー、イヴァンカ夫妻が参加することになっている(編注:原稿執筆時点2018年5月13日)。

トランプ大統領がイランとの核合意からの離脱を表明してから既にイスラエルとイランの間では軍事的衝突も起きており、「地政学リスク」の主役はシナリオの見えないイランに移って来ている。

地政学リスクの「主役交代」で市場は…

こうした「地政学リスク」の主役交代によって、米国本土が攻撃を受ける可能性は低下したといえ、金融市場の「地政学リスク」に対する警戒感も一旦はピークアウトすることになりそうだ。NYダウが7日続伸を見せたのも、こうした「地政学リスク」の主役交代の動きを受けたものだと言えそうだ。

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株式市場が「地政学リスク」の主役交代を好感してリスクオンの動きを見せ始める一方、債券市場は米国経済に対して慎重な見方が強まっている。

イラン問題もあり原油価格が3年ぶり高値になると同時に、金融政策の指標となっているPCEコアデフレーターが前年比1.9%上昇とFRBの目標圏内に達し、パウエルFRB議長が物価に強気の見解を示す中で、米国債のイールドカーブはフラットニング化してきている。

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

米国10年国債利回りは心理的な節目となっている3%の攻防が続く中、FRBが物価に対して強気の姿勢を見せたこともあり2年国債の利回りは2.5%に乗せており、10年国債と2年国債の利回り格差であるイールドスプレッドはトランプ大統領が勝利した大統領選挙後の最低水準である0.428%まで縮小し、イールドカーブのフラットニング化が顕著になっている。

原油価格上昇という目の前に見えるインフレ要因があるにもかかわらずイールドカーブのフラットニング化が進むというのは、債券市場は米国経済の先行きに警戒感を抱いていることの表れだといえる。

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