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日本人のビール離れが止まらない。大手4社の「生き残り」対策に明暗=栫井駿介

キリンとサッポロは多角化に成功

ビールや食品以外で大きな利益を挙げているのが、キリンとサッポロです。

キリンは医薬品事業を強化しており、営業利益に占める同事業の割合は3割を超えます。多角化としては成功している部類と言えそうです。

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サッポロは「恵比寿ガーデンプレイス」を保有しており、不動産事業の利益が営業利益の半分を占めます。サッポロ「ビール」ではなくサッポロ「ビル」と揶揄されるゆえんです。ヱビスビールと恵比寿ガーデンプレイスで持っている会社と言っても過言ではないでしょう。

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投資指標に大きな差は見られない

各社を比較すると、生き残りをかけて様々な施策を打っていることがわかります。ただし、大枠としてはドル箱だったビール市場の縮小をどのように補うかということになりそうです。

アサヒやサントリーは、グローバル市場を見据えて積極的な海外買収を行っています。拡大路線を取ることで、世界でブランド力を高めようとしているのです。ただし、高額の買収はその後の巨額損失のリスクもはらんでいる点を忘れてはいけません。

キリンは、ブラジルでの失敗を機に選択と集中を進めています。酒税改革で顧客回帰が見込まれるビールの収益力強化や、高いシェアを誇るオーストラリア事業に集中するようです。一方で、医薬品事業で大きな成長を目指すとしています。

サッポロは、エビスビールと恵比寿ガーデンプレイスに頼る経営が続きそうです。いずれも安定していることが売りですが、成長性の種を見出すには物足りないと言えます。

4社の株価指標を比較すると、似た数字が並びます。いずれをとっても割安・割高といったことは特になさそうです。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年5月24日)

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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