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米朝会議が破談なら、泣くのは中国。トランプの駆け引きを市場はどう見てる?=斎藤満

中国に「国有企業改革」を迫る米国

米国はこれまでも日本の金融自由化を強要し、不良債権処理で利益を上げ、韓国企業を事実上米国の支配下に置きました。そして今や中国の国有企業に矢を向けています。ことあるごとに米国は中国に対して「国有企業改革」を求め、その解体、米国支配を試みています

米国はその目的を果たす手段として、巨額の貿易赤字削減、市場開放を迫っていますが、真の狙いは国有企業改革です。さすがに中国もそこまでは譲れず、それ以外の方法で米国の要求にこたえようとしています。

すでに2000億ドルの黒字削減を受け入れ、そのために米国の農産物からエネルギー、航空分野に輸入拡大の方策を提示しています。そして米国車の関税を15%に引き下げ、金融市場でも信託、自動車金融、消費者金融、リースなどに外資(米国資本)の参入を認めるなど、大幅な譲歩を見せています。

はたから見れば、米国通商団の大勝利に見えるのですが、トランプ氏にすれば、国有企業改革に手を付けていない点が不満で、ここを攻めています。中国も簡単には飲めません。

「会談中止」は中国に圧力をための手段

そこで中国に圧力をかける手段として、つまり中国が打撃を受ける問題として、米朝会談の中止をほのめかした可能性があります。つまり、真の交渉相手は北朝鮮ではなく、米国と中国の交渉にかかっている可能性があります。米国としては中国の対応を見てから米朝会談を行ってもよいわけです。

中国リスクについては、これとは別に、中国、ロシア、韓国が北朝鮮の経済開発について支援プログラムを用意しているので、無理に米国や日本の支援を求めなくても、北はやって行けるようになった、というものもあります。

ただ、米国抜きでこのシナリオを進めることは北にも中国にも大きなリスクがあり、考えにくいと見ます。

従ってこれを除くと、2つのリスクのうち可能性が高いとすれば、後者の中国との問題となります。つまり、米朝間の認識のズレは恐らくないと見ます。

Next: 今後、米国市場はどう反応する? トランプが次に優先すること

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