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ニトリにとどめを刺された「大塚家具」、久美子社長が犯した2つの戦略ミスとは=栫井駿介

誰が買うのか。関係者たちのチキンレースが始まった

さらに言うならば、このまま民事再生法や会社更生法を申請してもらった方が、より望ましい条件になると言えます。

新しい経営者に代わったとして、やはりまず必要なのはリストラでしょう。単純な出資後のリストラだと「乗っ取り屋」のレッテルを張られかねませんが、経営破綻してしまえばその大義名分ができます。

日本航空<9201>も、会社更生法の申請でリストラを敢行できたからこそ、のちの復活につながりました。

経営破綻すると、ほとんどの場合100%減資を行いますから、既存の株主がいなくなり、資本政策も行いやすくなります。新たなオーナーとしては理想的な展開です。

どの買い手候補も、少しでも安く買おうと思って交渉を焦らしていることでしょう。しかし、どうしても買収したければ、ライバルに先手を打たなければなりません。久美子社長としても、他の交渉相手の影をちらつかせてより有利な条件を引き出そうとするでしょう。

関係者の中では、まさにチキンレースが行われているのです。

大塚家具の株式は、上場したままスポンサーが付けば株価が持ち直す可能性がありますが、一方で経営破綻のリスクもあります。株式の取引は、もはや本業の強さとは関係のない賭博場と化しているのです。

一か八かにかける「投機家」でなければ、同社の株式への投資は控えたほうがよさそうです。親子喧嘩に端を発したこのドラマは、いよいよ佳境を迎えています。


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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年8月30日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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