米中対立は選挙のための演出ではない
それは、主要メディアでよく言われるように、トランプ政権は、中間選挙で勝利するために米中の対立を演出しているからではない。もちろんそうであれば、中間選挙後、米中の対立を演出する必要がなくなるので、トランプ政権は妥協することだろう。
しかし、そうした短期的な視点の理由ではない。「トランプ・ドクトリン」のようなものは発表されていないのでトランプの外交政策の理念は見えない。
だが、当メルマガの記事で何度も書いてきたように、トランプ政権には長期戦略が明白にあるのだ。
トランプ政権が狙う「軍事力再編」と「世界覇権の維持」
トランプ政権が発足した直後に配信した当メルマガ第417回の記事で詳しく紹介したが、ブラジルの著名なジャーナリストのぺぺ・エスコバルが、トランプ政権の性格を分析した予言的な記事を書いている。
ぺぺ・エスコバルは、トランプを大統領選に立候補するように口説き、トランプ政権の発足を立案した人物の代理人からアプローチされ、この政権の目的と長期戦略を教えられた。
それは次のようなものであった。ぺぺ・エスコバルの記事の要約の一部を見てみよう。
このトランプ政権を発足させたマスターマインドによると、トランプ政権の本当の目的は、アメリカの軍事力の強化と覇権の維持である。トランプは反エリートの多極化容認の政権などではない。
そして、軍事力を再建するためには、軍事産業を再編成し、最先端テクノロジーを基礎にした生産基盤を早急に作らなければならない。しかし、軍事産業のこのような再編成と高度化を実施するのは容易なことではない。すでに、アメリカの製造業の拠点は海外に移転してしまったからだ。軍事力を高度化するためには、生産拠点のアメリカ回帰を推進しなければならない。
これを実行するためには、保護主義を採用し、海外で生産してアメリカに輸出する企業には制裁的な処置を取ることが重要である。
また、グローバリゼーションでアメリカの労働者は没落し、大変な格差が生まれた。これは、アメリカの国力の維持にとっては大変にマイナスである。ひとつの家族が夫の給与だけで十分豊かに暮らせるかつてのアメリカを取り戻してこそ、社会は基礎から安定する。これは国家の安全保障にとって非常に重要だ。
トランプ政権の発足直後に書かれたぺぺ・エスコバルの記事を見ると、高関税政策の適用という脅しで、アメリカにもっとも有利な貿易協定の締結を同盟国に迫り、米国内の製造業の活性化を行っているいまのトランプ政権の政策を見事に言い当てている。
ということは、ぺぺ・エスコバルにアプローチしたこのマスターマインドの情報は大変に重要なものであり、真剣に受け止めた方がよいだろう。
ということでは、この記事にある中国に関する内容も事実であろう。そこには次のようにあった。