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米中貿易戦争は軍事衝突に発展するか? 被害を受けるのは日本という悲しい現実=高島康司

トランプ政権は今後、対中政策をどうするつもりなのか

ぺぺ・エスコバルの記事を見ると、中国に関して次のような記述がある。

我々が中国に望んでいるのは、アメリカの国内市場に依存した輸出産業を基礎に発展するのではなく、中国国内の内需をベースにした発展である。要するに、アメリカに安い製品を輸出しないでほしいということである。

中国がこれを引き続き行うなら、トランプ政権は保護貿易で対抗し、ブロックすることだろう。中国には、発展を支えるだけの豊かな内需がある。

そして、中国との戦争に関して以下のように述べている。

我々は中国との戦争はまったく望んでいない。だが、南シナ海などで中国の軍事的拡大を抑止する必要がある。保護貿易の適用も含め、これを中国と交渉するためには、台湾をコマとして使う用意がある。

長年アメリカは、中国を唯一の正当な政府として認め、台湾との外交関係を表向きは断ってきた。しかし、この方針を転換し、中国が交渉に応じないならば台湾を正式な政府として認めるかもしれない。台湾をコマにして中国から有利な条件を引き出すつもりだ。

トランプ政権は、戦争にまで至る対立を煽る意志はまったくない。これを中国にはっきりとしたメッセージとして送らなくてはならない。その有効な手段は、同盟国である日本をバッシングすることである。

我々は製造業のアメリカ回帰を促進したい。このため、日本の製造業によるアメリカへの輸出攻勢はやめさせなければならない。これを材料にして日本を厳しく叩くことで、日本をけしかけて中国を追い詰める意志は、アメリカにはないことが明確に伝わるはずだ。

どうだろうか?トランプ政権発足直後の2017年1月に書かれた記事とは思えないほど、2018年10月時点で起こっている今の状況を予告している。

やはりこの記事こそ、トランプ政権の本質を書いたものであると見てよいだろう。

この予言的な内容の記事を参照すると、トランプ政権は米中戦争のような大きな軍事衝突を望むどころか、全力で回避する可能性のほうがはるかに高いことが分かる。

ということでは、中間選挙が終わりトランプの支持を固める必要性が薄らいだタイミングで、中国に対しては妥協する可能性があるのではないかと思う。トランプ政権の譲歩からなんらかの交渉が始まり、米中で妥協が成立する可能性が高い。

Next: 米中戦争を避けても日米交渉はさらに厳しくなる? トランプの長期戦略は

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