投資はギャンブルだが、見極めれば有利なギャンブルもある
一方で、このような経営は博打的な側面も否めません。店舗網を拡大している最中にブームが去れば、不採算店舗が赤字を垂れ流すようになります。資金繰りに窮せば今度こそ倒産の可能性があります。それを考えると、リスクは非常に高いと言わざるを得ないのです。
倒産してしまったら元も子もありませんが、投資家にとって株価下落リスクを抑えるために見るべきなのがPERです。PERの高低は投資家の期待を表します。PERが低い銘柄に投資したからと言って株価が上昇するとは限りませんが、期待が外れたことによる急落は避けられます。
ペッパーフードのPERは、2016年12月時点で20倍(有価証券報告書より)でした。平均的なPERが15倍程度ですから、無理な水準ではありません。もし大きく成長しなかったとしても、倒産さえ逃れれば業績の悪化を見てからの撤退でも大幅な資産の減少は避けられるでしょう。
このような博打的な経営の会社に投資するのは、堅実な資産運用ではおすすめできません。しかし、どんな資産運用でもリスクはつきものです。どうせリスクを伴う賭けなら、少しでも有利な「条件」のものに突っ込んだ方が良いでしょう。
2016年の時点でペッパーフードに投資する際の「条件」は、以下のような要素が挙げられます。
- 経営危機からは立ち直った
- 成功すれば大きく伸びるが、失敗すれば倒産の可能性もある
- PERは標準的な水準
結局のところ、このような経営が成功する保証はどこにもありません。しかし、成功すれば大きく伸びる可能性があり、失敗しても致命的にならないのであれば、投資に対する期待値は高いと計算できます。
株式投資をギャンブルとして考えると、胴元は不在で、勝つか負けるかの確立はほぼ二分の一です。そして、調べるほど有利・不利を見極めることができます。その意味では、他のギャンブルよりも割がいいと判断できます。
投資家として何より大切なのは、成功の予兆に目を光らせ、「条件」のバランスを見極める経験を積みながらその精度を高めていくことではないかと思います。