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「いきなり!ステーキ」は失速する? 1年で株価10倍の底力をどう見るか=栫井駿介

終わらないブームはない。現在のペッパーフードの「条件」

さて、多くの投資家にとっての関心事は今後の動向でしょう。

業績の拡大は続いています。「いきなり!ステーキ」の店舗数は、2018年上期だけで88店増加しました。通期の純利益は2017年の2倍となる見通しです。

しかし、気がかりなのが、既存店売上高が前年割れしていることです。

既存店売上高は、ブームの動向をあらわします。前年割れするということは、ブームが下火になりつつあるということです。

勝負はブーム終焉後、投資家はどう読む?

終わらないブームはありません。ブームが去れば、単に売上高が鈍るだけではなく、急拡大した店舗網のコストが重くのしかかるでしょう。日々のオペレーションで赤字が積みあがるだけではなく、不採算店は膨大な損失を出して撤退しなければなりません。

店舗網の急拡大は、やがて運営にひずみを生みます。多くの飲食チェーン店はこの問題でつまずきます。これを回避するためには、従業員教育やフランチャイズの結束が重要になりますが、それを徹底できる十分な時間があったとは思えません。

提供しているサービスも特別な技術が必要とは考えにくく、やがて多くの競合が参入してくるでしょう。顧客の奪い合いや価格競争は避けられません

何より、PERは30倍の高水準です。上記のようなリスクを内包する中で、少なくとも以前のようないい条件の賭けにはならないと考えます。

飲食は栄枯盛衰が激しい業界です。「いきなり!ステーキ」が、マクドナルドのように人々の生活に密着するようなブランドになるハードルはまだまだ高いと思われます。ペッパーフードの成功を参考にしながら、一つの銘柄に固執せず、より有利な条件の賭けを探すことこそ投資家がすべきことでしょう。

image by:StreetVJ / Shutterstock.com

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年10月11日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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