ウォール街は「米国の景気後退」を確実視
不可解なのは、世界の債務が約250兆ドルもありながら米ドルだけは依然として強く、他の通貨は弱くなっていることです。
米国の財政は実質的に破綻状態であることには変わりがないものの、米国経済は依然として底堅い動きを見せているのです。
米国の主流メディアは、こうした基本的なファンダメンタルズを無視しながら、「利上げなど愚かだ!」と口々に叫ぶ投資家たちの声を掻き消すよう、米国株の下げは追加関税やトランプが仕掛けた貿易戦争のせいにしています。
その中でも、ブルームバーグ(10月18日付)は、今回の暴落は米10年債の利回りが3.18%に上昇したことで、リスクを嫌う投資家が株式を売って米国債に逃避したからだと報じています。
また、同紙は、「1年以内にリセッションになる確率は28%程度、今後2年間では60%を超える。今後3年間の確率は80%超」というJPモルガン・チェースのリサーチャーの分析を紹介しています。
つまり、ウォール街は、米国の景気後退は確実と見ているということです。
トランプは今回の暴落の真の原因を知っている
にもかかわらず、FRBのシナリオでは、年内にさらに1回、19年も3回の利上げを予定しており、トランプは、その最終決定を下すパウエル議長を支持しているというのですから、トランプ政権は、米国株のさらなる暴落を容認しようとしているということになります。
なぜ、トランプは支離滅裂なことを言うのでしょうか。これもトランプ特有のフェイク・ドクトリン、つまり、“嘘も方便政策”なのです。
なぜなら、トランプは今回の暴落の本当の原因を知っており、それを事前に知っていたウォール街が空売りを成功させることによって莫大な利益を得ることを助けたかったのです。
もちろん、世界同時株安は、反トランプの主流メディアが報じているように、確かに米国による貿易戦争や利上げが世界経済の脆弱性を露呈させたからに他ならないわけですが、それがトリガーになったわけではない、ということなのです。
真相は、もっと深いところにあるのです。