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習近平主席「中国株は底打ちした」発言をどう見るか?上海PERは15.3倍=田代尚機

PERはフェアバリューでも、いま一歩の「割安感」

確かにバリュエーションだけ見ると、例えば25日における上海市場の平均PERは15.3倍で歴史的な変動域である9倍~60倍超といった範囲から見ればすでにフェアバリューと言ってよいだろう。

今期における銀行の業績が少し心配であり、全体の企業業績見通しでは減益懸念があるが、それを考慮しても、高過ぎるレベルとは言えないであろう。

ただし、割安感が漂うというほどではない。株価には慣性がある。やはり、投資家が割安感を感じることができなければ、フェアバリューであるからと言って、なかなか簡単には自律反発とはならない。

今後の相場を予想するポイントは、投資家が今の株価水準を割安と感じるほどの好材料が出てくるかどうかにかかっている。

指導層はその点について、それは「全面深化改革であり、国有企業改革であり、また、一帯一路戦略である」と主張している。つまり、「今は構造転換の真っ最中で厳しい時期であり、大きな変化が起きる時期である。我々は全精力をかけて世の中を変えようとしている。自信を持って投資して大丈夫だ」と言っているのである。

しかし、本土の投資家はとても貪欲である一方、結構冷めている。「マネーがすべて」といった面もある。手元に運用できる資金があれば、全体相場が多少悪くても、個別銘柄は別だと考え、勝負に出る。

金融緩和が一番である。先ほどの話に繋がるが、過剰流動性を発生させれば株価は上がる。しかし、その場合、また別のルートで短期資金が銀行から株式市場に流れることになるだろう。逆に言えば、下手をするとまたバブルになりかねない…。市場の管理は一筋縄ではいかない。

“きっかけ待ち”の本土市場、上海総合指数2400ポイントに注目

足元の状況も確認しておこう。

景気は悪化傾向が続きそうだ。ほとんどの投資家は構造転換を図る中では成長率が落ちることを理解しているので、そのことでことさら売られることはないが、景気が持ち直せば構造転換が上手くいきそうだということで大きな買い材料になる。そういうことが起こりにくいということだ。

政策面では国有企業改革に注目が集まっている。具体的なテスト企業が選ばれ、その企業群が一斉に企業リストラを含め、改革を始めることになれば、それらの銘柄が買われる。もっとも、発表直前には売買停止となってしまう。だから、予想の段階で買われることになる。これは相場の大きな核になり得る。

また、10月中旬には五中全会が開かれ、第13次五カ年計画の全体像が明らかになる。軍事産業なのか、環境・省エネ、新エネルギー、電気自動車なのか、あるいは別の戦略的新興産業なのか、産業支援策が大きく打ち出されるような可能性を感じられる話が出て来れば、それも相場の核になるだろう。

そういう観点からいえば、やはり、創業板指数、深セン総合指数などが買われる状態が望ましい。国有企業関連に始まり、小型材料株に買いが入り、それらの間で上手く循環物色が起こるようになれば、株価は自律反発の時期を迎えるだろう。

当局が何も目立ったことをしなければ、上海総合指数はまだ下げ足らない。だれもが割安と考えそうな2300~2400ポイントまで下げないと、自律反発してこないだろう。

本土市場は“きっかけ待ち”である。

(9月26日作成、有料メルマガから一部抜粋)

【関連】麻生さんも誤解?中国人民銀総裁「バブルがはじけた」発言の真相はこうだ

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中国株投資レッスン』(2015年10月1日号)より一部抜粋
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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TS・チャイナ・リサーチの田代尚機がお届けします。中国経済や中国株投資に関するエッセイを中心に、タイムリーな投資情報、投資戦略などをお伝えします。中国株投資で資産を大きく増やしたいと考える方はもちろん、ただ中国が好きだという方も大歓迎です。

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