ラガルド氏は誰のために暗号通貨を売り込むのか?
クリスティーヌ・ラガルドが、国際会議で暗号通貨に言及するようになったのは、去年の秋からです。
彼女は、2017年9月末にロンドンで行われたイングランド銀行の国際会議で、「銀行業は終わりを迎え、代わりに暗号通貨が勝利する」と声高に宣言しました。
そして、「暗号通貨はインターネットと同じくらい世界を大きく変えるだろう。それは、各国の中央銀行や従来の銀行業を別のものに置き換え、国家が独占している通貨システムに挑戦する可能性を切り開くものとなる」と述べました。
ここで見落としてはならないのは、ラガルドは、「その国の通貨は、その国が独占してはならない」と言っていることです。つまり、どんな国の政府でも、自国通貨を発行してはならず、IMFやFRBなどの民間の組織が独占すべきだと言っているのです。
彼女が何者なのか、よく分かる一節です。
暗号通貨こそ「中央銀行システムの支配者たちが望んだ」もの
ラガルドのこのスピーチを受けて、ウォールストリート・ジャーナル(2017年10月6日付)が「IMFのSDRがビットコイン化する日」と題する記事を出してきました。
SDR(特別引出権)とは、国際通貨基金(IMF)が加盟国の準備資産を補完する手段として、1969年に創設した国際準備資産つまり通貨バスケットのことです。
このSDRこそが「国際通貨のリセット」に際して、「本命の国際通貨」あるいは「つなぎの国際通貨」になると言われてきました。
あれっ?「ビットコインこそが世界の中央銀行システムの中央集権に対抗し得る唯一の手段」ではなかったの?
少なくとも、ビットコインの専門家と称する暗号通貨のコンサルタントたちは、ビットコインと他の暗号通貨を推奨し、「これを普及させることこそが自由への道である」と私たちに説いて回っていたのを見てきました。
私が警告してきたように、フィアット通貨から暗号通貨への移行はグローバリストに対する「革命」ではなく、むしろ、中央銀行システムの支配者が、もっとも望んでいたことであるということなのです。
結局、彼らは、「ビットコインを広めれば、通貨の奴隷システムから自由になれる!」と私たちに思いこませることによって、国際銀行家や、彼らが支配している中央銀行が、次の経済コントロール・グリッドのフェイズに進むために仕立て上げられた「暗号通貨のセールスマンだった」と言うわけです。