10年以上勝ち続け、20億円に近い資産を一度失った先輩
私はこの先輩投資家の話を、熱くなって反論せずに、冷静な気持ちで聞くことができている自分の成長を、少しだけ喜びながらも、この批判にきちんと答えるためにはどう話したらいいかを考えていました。
ただ、お酒が入った席で、むきになって議論をするのは、まったくつまらないことだと考えていたので、その場で反論するつもりはありませんでした。
趣味の世界の話なら、酒の肴にもなるし、大好きです。しかし真剣に意見をぶつけ合うならアルコールなどが入らない状態で、冷静に意見を交換し合うべきだというのが、私の持論でもあります。その持論を変えるつもりはまったくありませんでした。
この先輩は私より確実に相場が上手な投資家です。
ご自分でも株式投資で10年以上勝ち続け、20億円に近い資産を作りました。しかし、その資金を株式投資により、一度はすべてを失ったことがあることをご本人から教えていただいたことがあります。
これは先輩の偽らざる本音かもしれないとは思いつつ、私は心の中で、「それは違う」と言い続けていました。たしかに、株式市場を短期で捉えると、強い投資家が弱い投資家から資金を簒奪していく場所であるという、ゼロサムゲームが行われている面もあります。しかし株式投資にはゼロサムゲーム以外の面も持っています。
たしかに、欲と恐怖をコントロールできずに破綻する人も多いのが、株式市場など相場の世界です。しかし自分の欲と恐怖を見据えて、欲と恐怖をコントロールできるようになれば、株式市場は投資家に多くの素晴らしいプレゼントを与えてくれる場所でもあるのです。
「投資は専門家のものだ」というのは明らかな間違い
よく機関投資家で働いていて、最後には相場の苦しさに音を上げて、大学の先生などになった人が、「相場はバクチだから手を出さないほうが利口だ。それより自分の仕事の能力を磨いて、自分の才能に自己投資して、仕事の能力を磨いたほうが自分の生涯賃金が大きくなる」という意見を述べていることがあります。これも投資をバクチにして失敗してしまった人の偏った意見だと、私は考えています。
私は「投資は専門家のものだ」などというのは、明らかに間違いだと考えています。むしろ投資こそ個人のものであるべきなのだと考えています。
私の周りには、素晴らしい個人投資家がたくさんいます。
一番の年長者は70歳を越えています。いまから20年以上前に不動産投資と株式投資で資産を作り、50歳のとき務めていた県庁を早々と退職して、自分の資産運用だけで生活することを始めた、私の理想の師匠です。
その当時に年間家賃収入800万円を確保して、その安定した家賃収入で悠々自適な生活をしていました。株式投資も行っていますが、その投資総額は600万円くらいです。そして毎年200万円から300万円を確実に株式市場から確保しているとのことでした。
証券会社の仲の良い社員の人に確認したら、間違いなく毎年稼ぎ続けている素晴らしい投資家だということが分かりました。自宅にお邪魔して海外旅行の映像を見せていただいたこともあります。
60歳からは毎年2回海外旅行にでかけ、70歳を超えてからは毎年3回、4回と大好きな海外旅行に出かける回数が増えています。とてもうらやましい人生だとあこがれている投資家です。だから私の投資も、この師匠のアセット・アロケーションに段々近づいていけたらいいな~と考えて、行動していました。
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