トランプの新たな武器「相殺関税」
それだけではありません。米国商務省は23日、自国通貨を割安にする国からの輸入品に対して、それを関税で相殺する措置をとる方針を示しました。
「自国通貨の割安」を何をもって図るのか、詳細は不明ですが、トランプ大統領は以前、日本に対して円は長期的な均衡値から20%程度割安だと述べました。これは実質実効レートが使われた節があります。
相殺関税の対象には当然中国も含まれます。米国は半年に一度公表する「為替報告書」で、まだ為替操作国の認定はしていませんが、中国、日本、ドイツ、韓国、台湾などを「監視国」にリストアップしています。
自国通貨を有利にして対米黒字を拡大し、米国産業や国民の利益を奪っているとの認識で、これを相殺関税の形で取り戻すと商務省のロス長官も述べています。
中国はほぼすべての輸出品に25%の関税が課せられる可能性が高まっていますが、これにさらに人民元安を相殺する関税まで課せられると、輸出産業はもとより、その関連企業群も大きな打撃を受けます。
これは日本や韓国、台湾にも当てはまります。米国の貿易赤字対象国への砲撃は威力が増しています。安倍総理もゴルフや相撲観戦接待で安心してはいられません。
誰がトランプの首に鈴をつけるか
こうした「トランプ砲撃」に対して、WTO(世界貿易機関)もIMF(国際通貨基金)も無力化していて、歯止めをかけられません。
米政権内でも、マクマスター氏やマティス氏など、物言う幹部が離反してしまいました。反トランプ陣営のフランスのマクロン大統領もカナダのトルドー首相も、敵対関係が強いだけに、却って反発を強めるだけです。
その点ではトランプ親衛隊の国からトランプ大統領の首に鈴をかけるのが望ましいところです。
その点、トランプ氏が「友人」「尊敬」と称するトップがその任に当たりたいのですが、習近平氏は貿易戦争の当事者で除外され、北朝鮮の金委員長もハノイ会談が物別れに終わり、関係修復が必要な状況です。英国のメイ首相は辞任表明したので外れます。