サーキットブレーカー制度を「停止するほかなかった」中国当局
このため中国証券監督管理委員会(証監会)は7日に、導入したばかりの株式サーキットブレーカー制度をいったん停止することにした。素早い対応と言えるが、停止するほかはなかったのではなかろうか。
さらに8日に中国人民銀行は人民元の基準値を1ドル6.5636元と切り上げた。
これらの措置を受け、サーキットブレーカーと人民元の下落による売り圧力はいったん後退し、テクニカル的というか人為的にリスクを後退させた格好となった。
しかし、中国の経済そのものがこれで回復するわけではない。
7日には中国人民銀行が12月末時点の中国の外貨準備高も発表しており、それは3兆3300億ドルと前月末時点と比べて1079億ドル減少した。減少幅は過去最大となった。
中国の外貨準備高には水増し疑惑もあるようだが、いずれにしても中国人民銀行が人民元相場を支えるためドルを売却していることは確かであり、それだけ人民元への売り圧力が強まっている。この流れは簡単には止められないものと思われる。
原油は下落傾向が継続か
7日に原油先物市場では、WTI先物が32.10ドルまで下落し、リーマン・ショック後につけた32.40ドルを下回った。大きな節目を割り込んだことで、30ドル割れも見えてきた。
サウジアラビアとイランとの国交断絶など、中東における地政学的リスクが強まっているものの、原油先物の買い戻し圧力はそれほど強くはなく、中国など新興国の需要の後退と供給過剰が相まっての原油価格の下落傾向はまだ続く可能性が高い。
人民元や原油価格の売り圧力の強さは、新興国や資源国の経済成長が、日米欧の中央銀行による過度な金融緩和によって嵩上げされたことで、その分が剥がれ落ちつつあることを示していると思われる。
それが日米欧の金融市場にも跳ね返ってしまっているが、リーマン・ショックのような事態を招くようなことはいまのところ考えづらいと思われる。
『牛さん熊さんの本日の債券』2016年1月8日号より
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