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ブルボンはコカ・コーラになりうるか?消費増税でも買われる「消費独占型企業」を狙え=栫井駿介

成長性は物足りない

一方で、成長性には物足りなさを感じます。

会社は「地方にありながら世界につながるグローバル・カンパニー」を目指していると言いますが、海外売上高はほとんどないようです。

人口が減少する国内での拡大には限界があります。国内だけで成長しようと思ったら、シェアを高めるか、値上げにより利益を確保しなければなりません。

しかし、シェアに関しては頭打ちという印象を持っています。大きく伸ばすには、従来のスーパーではない新たな販路を見つける必要があるのではないでしょうか。(定期購入、いわゆるサブスクなんか向いていると思うのですが、現時点ではやっていないようです。)

また、ブルボンの商品のメリットは「値段に対してパフォーマンスが高い」というところだと思います。比較的安価で、何を買っても間違いがありません。逆に言えば、値上げしてしまうといいところが「片落ち」になってしまうのです。

菓子メーカーの営業利益率を比較すると、ブルボンがいかに安くいい商品を提供しているのかがわかります。しかし、それはすなわち利益を出しにくい構造でもあるのです。

【出典】会社四季報業界地図(2019年度版)

【出典】会社四季報業界地図(2019年度版)

この構造を脱却するには、従来の商品とは別に、より利益の取れる商品を出す必要があるでしょう。しかし、その芽はいまだに見えていません。

まとめると、ブルボンは財務・業績のいずれも安定しているものの、成長性が高いとは言えません。株価も少し割安な程度で、必ずしも手を出したい水準とは言えないのが現状です。

カルビーの「フルグラ」を見習う

食品メーカーの成長事例として私が参考にしているのが、カルビーのケースです。ドライフルーツをふんだんに使ったシリアルの「フルグラ」を開発し、新たなカテゴリーを作り上げました。

さらにそれを北米などの海外に販売し、成功を収めました。新たな市場発見による利益率の向上と地理的な拡大を同時に達成したのです。

カルビー業績推移(出典:みんかぶ)

カルビー業績推移(出典:みんかぶ)

つまり、食品メーカーにとって成長の鍵となるのは今後も「新カテゴリーの開拓」「海外市場への進出」でしょう。特に、内需拡大の目覚ましい中国における日本製品への信頼度は高く、このあたりが打開の鍵になってきそうです。

ブルボンがそれをできるかどうかはわかりませんが、そのような視点で食品メーカー全体を見ていきたいと思います。

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image by : Sharifah Aishah / Shutterstock.com


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年6月15日号)より
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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