ビル・ゲイツは2008年にはマイクロソフトから完全に離れて引退したが、2019年版の世界長者番付でも2位に君臨している。それはなぜか。理由を知れば人生の勝ち方が見えくてる。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
※有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
資本主義の世界でもっとも要領よく生きている富裕層を観察せよ
引退してから数十年、いまでも長者番付トップを独走
2019年3月、フォーブス誌は世界長者番付2019年版を発表している。トップはアマゾンのCEO(最高経営責任者)であるジェフ・ベゾスで、2年連続で「世界一の富豪」になった。
ジェフ・ベゾスはもちろん現役の経営者であり、いまや世界最強とも言える経営者となっている。
下半身スキャンダルや離婚問題で名声に若干の傷が付いたが、経営手腕はまったく衰えていないわけで、今後も長きに渡って世界長者番付の上位に君臨し続ける可能性が高い。
ところで、2位は誰なのか。言うまでもなく、ビル・ゲイツである。
ビル・ゲイツがマイクロソフトのCEOを降りたのは2000年だった。そして、マイクロソフトから完全に離れて慈善団体に活動の重点を移したのが2008年である。
つまり、ビルゲイツは2000年代にはすでに経営の第一線から身を引いており、ビジネスはしていないことになっている。ところが、それ以後も多少の順位の変動はあるものの、ほぼフォーブスの世界長者番付で世界トップを独走していると言っても過言ではない。
カスケード・インベストメント
経営の一線を退いてからも、ビル・ゲイツの資産はさらに増大している。ここに一体何が起きているのかを私たちはよく考える必要がある。
ビル・ゲイツはマイクロソフトから離れた2006年以後、マイクロソフトの株式をどんどん売却していた。
それで何をしていたのか。別にマイクロソフトを売った巨額の資産を現金にしていたわけではない。激甚な競争にさらされているマイクロソフトから、多様な株式に転換して保有していたのだ。
万一マイクロソフトが競争力を失ったり、凋落したりすると、ビル・ゲイツの資産は縮小する。マイクロソフトの株式を売却して他の優良企業を買うというのは、リスク分散のために必要な措置だとビル・ゲイツは考えたということになる。
マイクロソフトは今でもアメリカのハイテク産業を代表するトップ企業だ。しかし抜け目ないビル・ゲイツは、株式を分散化させることでリスクを減らし、さらに多様な企業に投資することで次の成長企業から利益を得ている。
ビル・ゲイツの資産を運営しているのがカスケード・インベストメントという投資企業である。ビル・ゲイツは第一線を退いて、カスケード・インベストメントでの「投資」で資産を膨らませていた。