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社長のミドリムシへの愛がアツすぎる!ユーグレナ株主総会レポート=平林亮子

気になる研究開発資金と株価の話

そのバイオジェット燃料の製造実証プラントを造るための資金は、2013年12月の増資で調達済み。社長曰く「プラント建設費用等は30億円と見積もっている」とのこと。

実は、増資によって集めた資金は、ほとんど使われることなく、2015年9月期の貸借対照表に「現金及び預金」60億円超が計上されています。その上、「現金及び預金として置いておくだけではもったいない」とのことで、一部、有価証券としても保有しています。

正直、ずいぶん長いこと資金を寝かせているなあ、と感じます。売上60億円弱の企業に、60億円を超える現金預金があって、さらに30億円近い投資有価証券を保有しているのです。

逆に言えば、資金を使う時期がそんなに先であるにも関わらず、よくそれだけ調達できたものです。

もちろん、バイオベンチャーは研究開発が先行するのが一般的。そのための資金をできるだけ出資によって集めたいはずで、それを実践しただけといえばそれだけのこと。

とはいえ、すぐに研究開発に使われることなく預金となっていれば、ほとんど利息がつかない超低金利の今。よくこれだけのお金を、早々と集めることができたものです。

なお、株価については上がったり下がったりしながら、結局1年前と同じくらいの水準になっています。

昨年より業績が良くなっている分だけ、実質的な株価は下がっていると考えることもできますが、執筆時点でもPERは約240倍、PBRは約11倍なので、一般的な水準と比較すると株価は割高。良くこれだけの水準を保っているなあ、と思いますが、昨年はPER約650倍、PBR約11倍でしたから、加熱していた株価が少し落ち着いてきた、というところでしょうか。

そういえば、株価の乱高下があった割には、株主から株価に関する質問はなく、ここは昨年と大きく異なるところでした。昨年は株価についても業績についても質問が飛び交いましたからね。

「こんなに高い株価になっているのはなんで?」という質問が出たときには、株価が高くても低くても議論になるのだなあ、と感じたものです。

それに対して、今年はとても穏やか。質疑応答は、1時間以上行われましたが、否定的な質問などはほとんどなし。少し騒がしくなったのは、株主の1人が、議長である社長に詰め寄ったシーンのみですが、その株主が退場となって終わり。

ROEが低いという指摘はありましたが、社長は「長期的な視点で見てほしい」と回答。ROEは、利益÷純資産ですから、借金が少なく出資による調達が多い場合には、低くなりがちです。

増資により何十億も資金調達をして、使うことなく手元に持ち続けているのに利益は数億ですから、ユーグレナのROEは低くなります。ROEが大切でないとは言いませんが、私の尊敬する経営者は、ROEの向上を追求していない方が多いです。

大切なのは、利益をしっかりと確保すること。その結果としてのROEの向上が重要なのです。

なお、「バイオ燃料が成功するまで、配当もしない方針」とのことでした。

こんなに穏やかだったのは、やはり、バイオ燃料事業について、具体的な進展と発表があったからかもしれません。社長は口先だけではなく、本当に実現に向けて動いているのだとわかりましたからね。

もちろん、新しいビジネスが成功するか否かは、やってみないとわかりませんが、私も一株主として、ユーグレナの事業の成功を祈りたいと思います。

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