ネガティブチャーンを継続
最後にコホート分析を見てみましょう。
Sansanのコホートは非常に優れていて、ネガティブチャーンを実現しています。
このグラフの通り、ミルフィーユの角層が右にいくにつれて小さくなっていない、という点が非常に印象的です。
ネガティブチャーンというのは、SaaSにおいて非常に大事な指標の一つではありますが、逆に言うとSlackのように、ミルフィーユの角層が右にいくにつれて大きくなっていない、という点も事実なので、今後は既存の顧客にどのようにアップしていくのかが焦点になるのではないでしょうか。
今後の注目ポイント
最後に、今後の注目ポイントを整理しておきたいと思います。
開示されているKPIを見る限り、SaaSビジネスとして非常に優良児であることは間違いないというのが、1つ目に強調したいポイントです。
一方で、これだけ解約率が低いにも関わらず、各コホートにおけるミルフィーユの角層が、右側にいくにつれて大きくなっていない、という点も気になるといえば気になります。つまり、まだまだアクセルが不十分だとも、アップセルする余地が大きいとも言えます。
こちらの数字を見ると、利用企業のカバー率に対し、利用従業員のカバー率がまだまだ、特に大企業で低い水準にとどまっている点が非常に気になります。
もしかすると価格的な問題で、企業内で広く導入するのは躊躇されているのかなという気もしないこともありませんが、今後の焦点としては、大企業の中で利用者数を増やしていくような取り組みがしっかり実現できるのか、というのが、このSaaSビジネスを占う上で、最も大きなポイントだと考えています。
『決算が読めるようになるノート』 2019年7月9日号『Q. ついに上場したSansanのKPIでピカイチに凄いのは何?』より抜粋
※記事タイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部による
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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方にも役立つ内容です。