乱立するキャッシュレスサービスは今後どうなっていくのでしょうか。今回は、JR東日本が提供するSuicaと楽天Payが提携するとどんなメリットがあるのかを考えます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年6月25日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
この提携が、乱立するQRコード決済への対抗策となるのか…
Q. なぜSuicaは楽天Payと提携したのか?
・(駅の発券機の)コスト削減
・エンドユーザーとのタッチポイント増加
先日、JR東日本が提供するSuicaと楽天Payが提携するというニュースが発表されました。
今日の記事では、なぜSuicaが、ある意味競合する楽天Edyを有する楽天と提携することになったのか、という点の背景を読み解いていきたいと思います。
すっかりカオス状態のキャッシュレス決済市場
初めに、現在の日本のキャッシュレス決済市場を簡単におさらいしておきましょう。こちらにある、クラウドキャストさんが製作したカオスマップが非常に分かり易いので、掲載します。
※画像出典:国内キャッシュレス決済カオスマップ (2019年6月版)
※参考:クラウドキャスト株式会社
このカオスマップにある通りですが、NFC(Near Field Communication)としてSuica、Apple Pay、Google Payがあり、右側には昔からあるクレジットカードがあり、さらに下側に最近乱立しつつあるQRコード決済が並べられています。
この記事をご覧の方は、全体像はよくお分かりの方も多いかと思いますが、このように、特にQRコード決済で、サービスが乱立している状況だということをまず押さえておきましょう。
キャッシュレス決済市場の現況
次に、ユーザーが各サービスについてどのように感じているのかを簡単におさらいします。
※画像出典:スマホ決済調査 普及度は楽天Edy、機能性はペイペイ―日本経済新聞(2019年6月6日公開)
サービス提供側からすると、非接触型のNFCとQRコード決済というのは全く違うサービスに感じるかもしれませんが、ユーザーからすれば複数ある中の決済手段の一つというふうに認識されています。
そしてユーザーからの視点でサービスを評価すると、上の表のようになっているというわけです。
・お得さでは、PayPay、Lineがリード
普及度、そして店頭での使い勝手という点において、やはり非接触型NFCである楽天EdyとSuicaが圧倒的に優位に立っていると言えるのではないでしょうか。
QRコード陣営は、PayPayやLINE Payを中心にお得感を売り出していますが、やはりユーザーエクスペリエンスという点では、非接触型NFCがQRコード決済に勝っているというのが、現時点でのユーザー認識だと思います。
非接触型のNFCは、ポケットから取り出してタッチをすればいいだけであるのに対し、QRコード決済はスマホのロックを解除してアプリを起動しないといけないという点で、やはり面倒だと感じる方が多いと考えられます。