なぜJR東日本は楽天と提携したのか
非接触型NFCのユーザーエクスペリエンス的な利点を考えると、Suicaが他社と組まなければいけない理由というのは一見すると無いようにも見えますが、なぜ今回、JR東日本は楽天とパートナーシップを結んだのでしょうか。
以下の記事にヒントがあります。
また、モバイル版Suicaの利用が広がれば自動券売機のユーザーも少なくなるため、駅の管理コストなどの費用も少なくなる。
(中略)
JR東日本の常務執行役員でIT・Suica事業本部長を務める野口忍氏は楽天との提携に関する発表会で「(Suicaの)全部がモバイルになるとは思っていない」としているが、「モバイルは手元に券売機がある感覚。モバイルの方に移行してもらえるように、今後もさまざまな提携を検討していく」としている。
1つ目のポイントは、カード型のSuicaの場合、チャージや発券など、駅における発券機のコストがどうしても重たくなります。JR東日本としては、可能な限り、モバイルSuicaに移行してもらい、駅の管理コストを下げたいというのは正直な本音でしょう。
JR東日本は2018年8月にみずほ銀行と提携し、みずほ銀行の口座から直接チャージできるSuica「Mizuho Suica」をリリースしている(iPhone)。
出典:同上
もう一つはここにあるように、JR東日本として、カード型からモバイルへの移行が十分に進んでいないため、外部とのパートナーシップを模索しているということが伺えます。
モバイル化を促進していくというのは、元々は鉄道会社であるJR東日本としてはあまり得意分野ではないのかもしれませんし、外部の金融機関やネットサービスと提携していくというのは、エンドユーザーのタッチポイントを増やしていくという点ではとても重要なのかもしれません。
つまりJR東日本の今回のパートナーシップの狙いは、以下の2つだと言えるのではないでしょうか。
・エンドユーザーとのタッチポイント増加
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