トランプは企業より米国民の利益重視
日本に比べて経済が好調な米国では、トランプ大統領が米国民に目を向けた政策を進めています。
減税は個人だけでなく企業にも行いましたが、それが賃金に回るよう仕向け、現に法人減税の後、年明けには個人の賃金が増え、消費を刺激しました。
また、国内の生産、雇用を増やすために、コストの安いメキシコや中国に進出するグローバル企業を米国に戻すため、関税を掛けました。
中国やメキシコで作った自動車などを米国に輸出すれば25%の関税を掛けると脅し、米国回帰を図りました。
米国第一主義は、企業でなく米国民が対象になっている点で、アベノミクスとは本質的な違いがあります。関税が国民生活を圧迫するなら、必需品を外したり、税率を抑えたり、国民の利益に配慮もしています。
日本も発想の転換が必要
米国に倣う必要はありませんが、日本でもアベノミクスの失敗に鑑み、思い切った発想の転換が必要かもしれません。
少なくとも失敗の原因となっている企業優位の資源配分は停止したほうが良いでしょう。
まず税制ですが、法人税減税、消費増税は止め、少なくとも消費増税は中止し、不足分は米国に倣って「富裕税」を採用するか、社会保険も含めた累進課税も一考です。
マイナス金利による円安も、家計の犠牲が大きく、円安低金利で設けた企業が家計の損をカバーできていません。それならば初めから金利を上げて円高にし、財政を使わなくても消費者の購買力を高めることです。
今、1,800兆円の家計金融資産からはほとんど利息収入が入りませんが、かつては年間30兆円から50兆円の利息収入、財産所得が入り、家計の所得を補填していました。
個人減税をしなくても、金利を1%にすれば、それだけで年間10兆円の利息収入が入り、減税や年金の補填になります。
これで円高になれば、ガソリンや輸入食材のコストが下がり、これも減税効果になります。日銀はこれまで円高を恐れて金融緩和を止められなかったのですが、円高をむしろ利用するとすれば、この縛りからも解放されます。
金利をマイナスにするほど下げても借り入れ需要は高まらず、むしろ銀行が利ザヤをとれなくなって貸出が増えなければ意味がありません。
円安に拘っても米国から睨まれれば、これも続けられなくなります。金利を上げることで銀行が信用創造に積極的になれば、むしろ金融緩和効果をもたらします。
これらの恩恵にあずかれない、つまり金融資産を持たない層や若い世代には、教育補助、ポイント還元、所得還元などでカバーすることも可能です。家計全体に減税をするよりはコストが軽く済みます。