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まやかしのリスクオフ後退~究極の波乱要因となる「中国株暴落」の条件

楽観的な市場見通しが、FOMCの見方に収れんする

3月限のFF金利先物こそ先々週末と変わらずの37.5bpsでしたが、6月限FF金利先物の予想利回りは更に低下しています。

実際、1月FOMC直後の利上げ時期の確率は更に後連れになり、最頻値は6月と7月になりました。

また、今年末のFFレート見通しは1週間で63bpsから55bpsまで低下しましたので、今マーケットは今年1回しか利上げを想定していません。

FOMCメンバーもハト派的になりましたが、マーケットは更に楽観的な見方になり、12月ドットチャートでは超ハト派ですら想像していなかった年1回の利上げが主流になったのです。

常にマーケットがFOMCの見方より楽観的なわけではないので、FOMCがハト派的になった現時点でも、マーケットがFOMCの見方に収れんすると引き締め的な反応になる可能性が高いのです。

従って、今週の相場見通しを作成するための前提も先週と同様に、「昨今の株安を受けてFOMCメンバーはハト派的なトーンに変わったものの、マーケットはそれ以上に非現実的なくらいのハト派になってしまったので、マーケット正常化の過程では、楽観的な市場見通しがFOMCの見方に収れんする」という見方をしたいと思います。

以上を整理すると、以下のようになります。

FRB マーケット
次回利上げ時期 3月→ずれ込みそう 4月以降→6月くらい→7月の可能性も
来年利上げ回数 4回→減りそう ほぼ1回
来年末FFレート 1.3%→低下しそう 60bps→55bps

常にFOMCより先走ってハト派的な見方になっているマーケットの見方は、過度に楽観的で3月FOMC時に公表されるドットチャートが出るまでに引き締めサイドに収れんするという見方は変わっていません。

なお、私の利上げ予想は先週と同様です。
次回利上げ時期:3月(2割)、4月(5割)、6月(3割)
来年利上げ回数:3回
来年末FFレート:0.75%~1.0%

初回利上げをしたばかりでいきなり襲ってきた株安で、タカ派のメンバーも見方も大きく修正せざるを得なくなったと判断しています。

何度も書いていることですが、利上げを2回ほどしてから今起きているようなリスクオフになると、マーケットは「そうは言っても、定規で引いたようにこの先も利上げが続く」という慣性が働きますし、FOMCの修正も困難になります。

しかし、初回利上げ後直ぐにリスクオフになると、次回利上げを延期し続けることも可能ですし、最悪利下げをして再度ゼロ金利に戻してしまうことも可能です。

なので、今年前半のマーケットが「マネー逆流の恐怖でリスクオフになる」というシナリオの確度はかなり低下したと思われます。中国株が落ち着けば再度マネー逆流懸念は出てきますが、現在は中国情勢をトリガーにした世界的な新興国リスクの高まりでFRBの出口戦略が修正を迫られつつあると考えています。

今週も先週に引き続いてFOMC声明を補足する要人発言が最重要になります。

従来より「やや緩やか」というのは年1回なのかそれとも3回なのか。また海外情勢の注視は数カ月程度の時間が必要なのか、それとも完全に落ち着くまでは様子見が望ましいと考えているのか。

先週発表のFOMC声明文ではこういった点が全く不明ですので、今週はマーケットがもっとも関心を持っている次回利上げ時期、利上げペースと年末のFFレート見通しに関する示唆が得られるかどうかが重要になります。

Next: 欧州ECB金融政策の今後のポイント~ドラギ「3月追加緩和」の行方は?

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