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まやかしのリスクオフ後退~究極の波乱要因となる「中国株暴落」の条件

欧州ECB金融政策の今後のポイント~ドラギ「3月追加緩和」の行方は?

12月上旬のECB理事会での追加緩和は、事前に期待させすぎたのでネガティブサプライズになりましたが、これに懲りずドラギECB総裁は1月21日のECB理事会後の会見で、再度「3月に追加緩和をする可能性がある」と発言をしました。

その後原油が反発基調になるなど、発言は一定の効果を挙げていますが、ドラギECB総裁は3月理事会で追加緩和を再考する必要があると言っただけで、昨年10月の「12月に追加緩和をする」というほど明確に言っていません。

昨年12月理事会での決定が、市場が期待した国債買い入れ額増額ではなく、従来からやっていたマイナス金利幅拡大しかできなかったのは、ドラギECB総裁以外の理事が追加緩和に消極的だからですが、今回も21日の理事会後に消極的な発言が続いていました。

このため、この発言の持続性は3月理事会まで持たないと思います。つまり、今回のECB発のリスクオンの持続性は長くないでしょう。

今週以降、ドラギECB総裁以外の理事が3月の緩和に消極的もしくは否定的な見方を発言してくると、欧州発のリスクオンの寿命は予想以上に早く消失してしまうでしょう。

このため、今週はドラギECB総裁以外のECB理事の発言も非常に重要になります。

日銀金融政策の今後のポイント~金融政策の効果はサプライズの有無で決まらない

散々追加緩和に消極的な発言を繰り返していた黒田氏が昨年12月にまたもや市場を騙まし討ちにしました。と思いきや。先週の1月会合でも再度ダマシ討ちです。

先週金曜の日銀政策決定会合で再度追加緩和を行い、日銀では初めてとなるマイナス金利を導入することにしました。

先週のこの欄でも書いたように、黒田氏の性格を考えるとコンセンサス追加緩和予想が少ないため追加緩和をしそうだし、春闘を待つまでもなく目標達成が困難になった以上は必要性も高まっている。

しかし、直前まで今は必要ないと言っているし、政権サイドでも様子見と言っている。一方で、反対派が増えているので議案を上げても通らない可能性もあるので、これらを考慮すると、先週末時点ではやらない可能性の方が高いと書きました。

しかし、水曜木曜の記事では、追加緩和を予想する人が少ないので、やる可能性があるので、やっても死なないようなポジション構築と、500円上がったときにやるべき推奨アクションを書いておきました。

結果的には、甘利経済相が辞任しても関係なく、サプライズを重視したようです。

なお、日銀総裁は嘘をついて良いと考えている人が多いし、「正直に言ってもしょうがない。事前に漏れないようにするため、隠すのは当然」と思ってる人も多いので、改めて書いておきます。

政策決定にサプライズは必要ではありません。金融政策の効果はサプライズの有無で決まるのではないです。中央銀行が気にすべき事は物価目標が適切に達成できるかどうかもそうですが、それと同じ位に安定した金融市場というのも重要です。

過度な悲観や楽観でマーケットが極端になっている場合、ビルトインスラビライザー(調整弁)的な役割を果たすのも中央銀行に仕事です。

政策決定会合は月に1度しかないですが、マーケットは日々動いているので、上下の行きすぎは常に生じます。それを均すために、欧米中央銀行トップは行きすぎを戒める発言をしたり、事前にメッセージを流すのです。

これは情報を漏らす悪い行為ではなく、市場と適切なコミュニケーションを常に図ることで、市場の暴走を日ごろから防いでいるのです。

特にリーマンショック以降の金融市場はデリバティブが幅を利かしているので、従来にも増してマーケットのボラティリティが上昇してきました。こういう中では、会合まで意図を秘匿してサプライズを狙うより、常日頃からコミュニケーションを図り、マーケットの行き過ぎを阻止する方がはるかに大切だと私は考えます。

特に、黒田氏は今回も直前の参院委員会で「マイナス金利に否定的な見方」をしました。事前に言質を取られたくないのでしたら、全ての可能性は従前から検討しているので、マイナス金利も同様。ただし、それを速やかにやるかどうかは別であり、今必要かどうかについては今後の会合で検討することになる、のような言い方はいくらでも可能なのです。

マーケット参加者を驚かしても何の意味もありませんん。事前に今のマーケットの下がり方は尋常じゃないので、場合によっては追加緩和を検討しないといけないかもしれないと日銀政策決定会合の数週間前に発言していれば、マーケットはここまで行き過ぎなかったのです。

上下変動を大きくするのが中央銀行トップの仕事ではない以上、私は黒田氏のサプライズのやり方は現在の中央銀行トップとしては不適切だと考えています。

このマイナス金利は、金曜の記事で書いたように、ECBでは2年前から導入されており、効果が薄かった経緯もあるので、海外メディアの論調は決してポジティブではありません。

マイナス金利にすれば市中に金が大量に流れるはずだとECBは考えましたが、実際欧州では、低額預金者から手数料を徴収する例が出たきた反面、期待した融資増は、借り入れニーズが低いために増えませんでした。

日本は付利はありましたが、2年前から成長分野向けの低利融資制度も設けています。しかし、それでも融資増には結び付かなかったのです。

なので、このマイナス金利の導入は、話題性はありましたし、マーケットをびっくりさせたのも十分な効果はありましたが、インフレ率の引き上げにはつながらないでしょう。

そもそも融資が増えてもインフレ率上昇に直結しません。最もインフレ率上昇に影響を与えるのが労働需給のひっ迫で、失業率が低い日本の場合は、労働者の賃金が明確に上昇する事です。

しかし、2015年の組合平均の賃上げ率(除く定昇分)が0.69%なのに対し、今年は企業収益が不透明ということで、昨年以下の伸びになる可能性が高いと見られています。
このような環境下で、企業が設備投資を積極化することは考えにくいですし、春闘が成功しない以上、マイナス金利を導入してもインフレ率上昇には効果が低いと思われます。

従って、昨年12月の追加緩和もどきよりはネガティブではないものの、今回のマイナス金利で日本発のマネーに変化は見られません。

つまり、過剰流動性は変わらないのです。

日欧中央銀行が同時に行動することを予想できた投資家は恐らく1%も居ないと思いますが、先週はそのレアケースになったため、日欧発の緩和姿勢変化を好感する動きはもう少し続くかもしれませんが、日欧中央銀行のアクションとも先月のアクションと大差ない以上、リスクオン的な流れの持続性は乏しいものと判断します。

このため、先月日銀政策決定会合時の株式のような上ヒゲにはなりませんが、昨年10月~11月のリスクオン相場のようなマーケットにはならず、今来週で楽観は終了する公算が高いと見ています。

以上を整理すると、今週はFOMCを踏まえたFOMCメンバーの補足発言と、ドラギECB総裁以外のECB要人発言が重要になります。

Next: 押さえておきたいリスクオン/オフの要因~すべては中国次第

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