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まやかしのリスクオフ後退~究極の波乱要因となる「中国株暴落」の条件

押さえておきたいリスクオン/オフの要因~すべては中国次第

2014年10月の米国の量的緩和終了前後から新興国はリスクオフに転じましたが、同時期に発表された日銀マネーと昨年3月に始まったECBの量的緩和に救われ先進国は今まではリスクオンが継続していました。

12月初旬のECBではマーケットが期待した国債買い入れ増額は決定されなかったので、昨年3月以降の日米欧のマネー供給ペースに変化はありません。

しかし、昨年12月16日に決定された米国の利上げで、いよいよ基軸通貨マネーの逆流が本格化します(なお、日銀の追加緩和は日本株ETF買いなので、世界のリスクオフ解決には無関係です)。

先進国のリスクオフ、特に米国株のリスクオンが終わる場合の可能性は上海株安を加えて4つありましたが、ギリシャ問題が片付いたので、地政学的リスク以外でマーケットが気にすべきリスクオフになるトリガーは3つに減っています。

リスクオフになるトリガー

  • 米の利上げによって過剰流動性相場が本格的に終了すること
  • 昨年1月のように新興国のリスクオフが深刻化しフラジャイル5など比較的大きな国の危機が勃発する
  • 中国経済懸念(上海株安/元切り下げ)をきっかけにした世界株安

この3点はいずれも密接に関係しており、特にFOMCで利上げ先送りの理由を海外発の物価下落による影響としたことで、全てが相互的に絡んでいますが、その根源は中国経済に尽きます。

つまり、

  • 新興国危機は中国経済減速に起因
  • 米国が9月から利上げを躊躇していたのは、世界的な商品市況安の見極めをしていたためなので結局は中国経済

です。

そのいずれかがおきても、玉突き的に他のリスクが現実化するので、結局は全てが起こる可能性が高いのです。

  • 新興国危機が起きる事態になると利上げは先送りになるだろうが、中国経済はもっと酷いことになっている
  • 米国が利上げをすると、新興国危機に拍車がかかり、中国からの資金引き上げも加速し、中国危機に繋がる
  • 中国経済がクラッシュすると、新興国だけでなく世界的な混乱に繋がる

こうして見ると、元をただすと中国経済要因が独立リスクかつ一番の問題だということになりますが、ここではそれぞれ別個に検討することにします。

まずは米発のマネー逆流懸念、引き締め懸念から来るリスクオフシナリオです。リーマンショック以降続いていた量的緩和が2014年10月に終了したので、以降のマーケットは日欧の緩和だけで支えられてきました。

しかし、いよいよ米国の利上げが始まったので、リスク資産からもマネーが逃げ出し始めたのです。

昨年6月以降のマーケットのリスクオンとリスクオフの揺らぎを整理すると以下のようになります。

昨年6月中旬以降の世界のマーケットの調整感

  • FRB:利上げ時期前倒し懸念台頭→もともと9月以降の見方だったが、もしかしたら7月という見方も
  • ECB:2016年以降も緩和は続くが、ボラティリティ容認(=債券買い入れピッチが緩む懸念)
  • 日銀:追加緩和打ち止め観測→毎回の会合で木内委員の緩和終了の動議が出される

昨年10月以降のリスクオン

  • FRB:利上げは来年3月以降に先送りとマーケットが勝手に判断(10月発表の弱い雇用統計で)
  • ECB:12月に追加緩和をする、あらゆる手段を検討しているとドラギECB総裁が発言
  • 日銀:去年もそうだったので10末の追加緩和があるとマーケットが勝手に判断

きっかけは弱い米国雇用統計を受けて、マーケットコンセンサスの利上げ時期が後連れしたことですが、日米欧の中央銀行の全てがマネーを緩める方向に動くという見方になってしまったために、マーケットは勝手な妄想的なリスクオンになったのです。

ほぼ同時期にFOMCのタルーロ理事とブレイナード理事が相次いで年内の利上げに反対する発言をしたこともその理由ですが、他の要人は引き続き年内利上げに賛成する意見が主流でした。FOMCメンバーで最もハト派の二人がこの時期に発言をしたことで、結果的にマーケットをミスリードさせることになったのです。

10月の楽観相場において、中央銀行と市場との見方の違いは以下のようになっていました。

  • FRBは再三、年内利上げと発言⇔マーケットは来年3月以降
  • 日銀は追加緩和の必要ない→⇔マーケットは10月緩和、そうでなかったら11月緩和
  • 欧州ECBは追加緩和決定(預金金利引下げの可能性大)⇔マーケットは最も効果がある債券購入増額期待

つまり、欧州ではベストシナリオの追加緩和を織り込み、日米は当局が否定しているのに緩和的行動を織り込んでいたことから、12月初旬のECBの追加緩和の内容が市場が期待する債券購入プログラムの増額ではなく預金金利引き下げに留まったのでショックを受けたのです。

10月以降のアヤが数ヶ月に亘り長大になったのは、リーマンショック以降のマネーの大量供給で、いまだかつてないくらいに中央銀行の影響力が大きくなっているのに、中央銀行の情報発信力が応え切れていないのと、市場参加者の咀嚼能力も十分でないためでしょう。

しかし、今年に入ってマーケットがリスクオフに転じ、その調整スピードが速過ぎることを懸念したためか、1月中旬からFOMCメンバーの発言が一気にハト派的になりました。このため、そもそもFOMCの見方より楽観的だったマーケットは更に楽観的な見方へと変更されましたが、FOMCの見方もマーケットにすり寄ってきました。

加えて、先々週先週日欧中央銀行がサプライズ的な緩和姿勢を表明しました。

  • ECB:3月理事会で追加緩和を検討
  • 日銀:マイナス金利導入、必要なら追加も

米国株の急落で、FOMCの要人発言のトーンが一気に変わった13日以降から、「マーケットを注視しているのは市場参加者だけでなく、中央銀行トップも同様で、彼らはシナリオを描き変える能力も持っている」「中国株が落ち着くと、短期的には再度昨年10月以降の楽観マーケットに戻る可能性が高まっている」と書きましたが、結局、21日のECBドラギECB総裁の追加緩和示唆発言以降、マーケットはリスクオン気味になっています。

数週間前の記事で、下げピッチが速いと当局のアクションも想定外のモノになるので、シナリオは変更せざるを得ないと書きましたし、「暴落の中にこそ暴騰の芽が出始める」とも書きましたが、催促相場的な1月の急落で、日欧の中央銀行の姿勢が変わってしまったのです。

変わった以上、今年中央銀行発のリスクはかなり低下したと思われます。

もちろん、株式市場がリスクオンになり数カ月も続いた場合、当局は再度引き締めを模索するため、下期にリスクオフの仕切り直しが来る可能性は高いですが、そこまでマーケットが強くない場合、日米欧中央銀行のハト派的な姿勢で急落はある程度オフセット出来ると見ています。

先々週のこの欄で以下のことを書きましたが、その通りの事態になったようです。

つまり、日欧中央銀行の緩和は当面出尽くしと取られていますが、FRBが緩和的なメッセージを打ち出してきましたために、当面(この数カ月)は、米の利上げをトリガーとしたリスクオフにはなりにくくなりました。逆に、昨年10月のような楽観相場になるトリガーになる可能性が高まり始めました。

ここが先週から変わった最大のポイントです。

日欧中央銀行のアクションはマネー総量増加に結び付かないため、昨年10月以降のマーケットのようなリスクオンにはならないでしょうが、急激な株け下落は何としても食い止めるし、まだ追加措置もありうるという当局の姿勢が明確になった以上、中央銀行の金融政策におびえるマーケットは当面心配しなくて済みそうです。中国がよほどの事態にならない限り、1月のボラは出ないでしょう。

Next: 新興国発のリスクオフシナリオはやはり中国がポイントに

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