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ニッチ市場のユニクロになれるのか?業績好調な中央自動車工業が変化したワケとは=栫井駿介

「卸売業」「自動車関連」「東証2部」が株価を押し下げ

株価は上場来高値を更新した一方で、PERは9倍と低水準です。PERが低いのは、直近だけでなく長期的な傾向です。

なぜ評価されないのでしょうか。それは、同社の属性に原因があるのではないかと考えます。

「卸売業」は低評価が続きます。その代表格である総合商社の三菱商事<8058>のPERはわずか7倍です。

「自動車関連」というのも足を引っ張っています。国内の自動車市場拡大の望みは薄く、電気自動車や自動運転車の登場で過渡期にあります。将来が懸念され、業界最大手のトヨタ自動車<7203>でもPER9倍です。

おまけに、上場市場は「東証2部」です。この市場は、一般的に成長企業でもなければ大企業でもない、中途半端な位置づけに捉えられます。機関投資家も個人投資家も買いにくい銘柄なのです。

このように、「卸売」「自動車」「東証2部」という属性が同社の株価水準を押し下げているものと考えます。

低評価だからこその「旨み」

このまま中央自動車の評価は低水準なままなのでしょうか。

悲観的な見方をすればそうなります。実際に、商社はいくら業績を伸ばそうと、PER水準が上がることはありません。この固定観念はなかなか変わりにくいものです。

しかし、もしそうであっても、中央自動車工業の業績は伸びています。PER10倍のままでも、毎年10%ずつ利益を伸ばせれば、5年で60%の成長が見込めます。

また、これだけ好業績・高財務でPER水準が割安なら、下値余地は限定的と言えます。

その上で、「運良く」市場が同社を評価することがあればどうでしょう。例えば、5年後にPERが2倍の20倍になったとして、その間利益が年10%利益成長していれば、株価は1.6×2で3.2倍になります。

すなわち、同社は「下落余地が小さく、運が良ければ3倍が目指せる」銘柄と見ることができるのです。リスクを避けない投資という行動において、かなり有利な状態であるのではと考えます。

もちろん、リスクも忘れてはいけません。

ディーラーが車にコーティングを施すのはやはり新車販売時が多いでしょうから、自動車販売が下火になれば業績も一時的に落ち込みます。どんな企業も景気の変動を避けることはできません。

しかし、一時的にパイが減っても、その間にシェアを伸ばすことができれば、その後再び好景気になったときには大きく業績を伸ばすことができます。幸い、同社は財務的に一時的な景気後退にも耐えられる余裕があります。

足元の株価は上昇していますが、まだまだ割安感が漂います。興味深い銘柄として、ウォッチを続けたいと思います。


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image by: Mikbiz / Shutterstock.com

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年8月8日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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