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「悪意の売り」規制しながら幹部は売り仕掛け~中国共産党が市場に抱く懸念=田代尚機

中国証監会と大手証券の闇~幹部たちが売り仕掛け

昨年はいろいろな予期せぬ出来事が起きて株価が乱高下した。

一部の証券会社は半ば規制を無視し、信用取引業務を急膨張させた。ノンバンク、情報提供会社などは、証券監督管理の規制を潜り抜ける形で、市場の外で投資家に資金を貸し出すことで、無茶なレバレッジ投資を横行させた。それによって、株価の小バブルを発生させてしまった。

証監会は悪意のある売りに対する規制を行い厳禁する政策を打ち出す中で、証監会の某副主席はじめ数名の幹部は、香港市場において本土関連商品の売りを仕掛けていたことが発覚した。

さらに、大手証券会社の一部の幹部たちも、海外市場において本土関連商品や自社株の売りを仕掛けていた

銀行絶対優位の業界構造が人事的に不遇の彼らを金儲け主義に走らせ、証券業界によどみをもたらせた可能性がある。

証券業界を監督管理する者は、銀行業務だけ知っていても、証券業務について素人同然であれば、適切な管理などできない。

その上、証券業界の場合、生き馬の目を抜く国際市場で生き残ってきたヘッジファンドたちが、制度の不備や未熟な監督管理の間隙をぬって、香港、本土両市場において、果敢に投機を仕掛けている。

証監会の内部では、海外の投資銀行で経験を積んだ優秀な人材を登用している。しかし、彼らが人事面で厚遇されることは少なく、定着しているとは言えない。どうしても管理側の能力が“日々、現場で起きている事件”に対応できないでいる。

トップを変えただけでは――さらなる乱高下の可能性も

今回の人事は、年初に起きたサーキットブレーカー制度導入の失敗を含め、一連の監督管理の不備が原因であろうが、トップを変えただけでは監督管理の質は高まらない。

中国経済に関しては楽観している。国家の強力なリーダーシップにより、成長期を過ぎ、生産過剰状態になった産業を整理統合する一方で、戦略的新興産業を保護し、発展をサポートすることで、中国経済はレベルアップが可能である。これまでがそうだったように、今後も、国家資本主義の強みが生かせるだろう。

ただし、証券市場については、経済よりも、ずっと監督管理が難しい。今回の一連の失敗を通して、当局の監督管理はより保守的なものとなりそうだ。

資本市場の開放や、国内機関投資家(社会保障基金、生命保険など)の市場参入といった資本の自由化・国際化はよりゆっくりとしたペースとなるだろう。

証監会は当面、株価動向により注意を払うことになり、本土株は緩やかな上昇トレンドが出ると予想するが、数年の単位で見れば、株価は昨年のように乱高下する可能性を秘めている(2月20日作成、有料メルマガから一部抜粋)。

【関連】中国と世界の株価下落は無関係 「人民元安」というスケープゴート=田代尚機

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中国株投資レッスン』(2016年2月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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TS・チャイナ・リサーチの田代尚機がお届けします。中国経済や中国株投資に関するエッセイを中心に、タイムリーな投資情報、投資戦略などをお伝えします。中国株投資で資産を大きく増やしたいと考える方はもちろん、ただ中国が好きだという方も大歓迎です。

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