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「米国人の外食離れ」レストラン需要急落の怪~本当に好況なのか?

米国人の最大の楽しみ――外食。レストラン業界の需要急落は、大きな地殻変動が起きていることを示すのでしょう。ここ数年間の非農業部門雇用者数(米雇用統計)は、ウェイター、ウェイトレスの非正規雇用数の増加で上手に誤魔化してきたのですから、これは大きな地殻変動となります。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

2008年金融危機前の落ち込みに匹敵、米レストラン業界の需要急落

最大の楽しみ「外食」を捨てはじめた米国人

米国人の最大の楽しみ――外食。レストラン業界の需要急落は、大きな地殻変動が起きていることを示すのでしょう。
Restaurant Industry Suddenly Tanks, Worst Plunge since the Beginning of the Financial Crisis

報道のポイント

これまで米国外食産業は、経済不況とはほとんど関係がなかった業界。現代の米国人は、スーパー等の小売店で野菜や肉や食料品を買うよりも、自分の好きな雰囲気の店で飲んだり食べたりすることに浪費をするのが好きな人種である。

現在、米国では小売チェーン等の店頭販売、利益が減り、人員解雇や閉店が続いている。これまで外食チェーンだけは不況とは関係ないと言われてきたのだが――。

全米レストラン協会のRPI指数(外食産業指数)のデータによれば、2015年12月にこの指数が突然大きく落ち込んだ。この指数は現況指数プラス期待指数の合計で、同一レストランの売上高、顧客数、従業員数等から算出したものであり、安定状況基準値は100である。100以上は活況を示し、以下は不況を示すことになる。

この指数は2003年以来、集計されており、活況ピークは2004年の103.5であり、最低は金融危機の時点の96.5であった。

2015年12月のRPI指数は99.7で、前月11月は101.3、その前の10月は102.1であった。この99.7の落ち込み率は3.1%で、これは2008年金融危機前の落ち込みに相当する勢いである。

同一レストランでの売上は前年同月比で下落しており、これは約3年間で初めての出来事。サンプリング対象のレストランの43%は11月と比較して10ポイントの売上減少となっている。また51%のレストランは顧客が減ったと報告している。

米国の外食産業は巨大な産業で、そこで働く労働者は約1400万人で全米労働者数の約1割に相当する規模だ。年間総売上高は709.2B$であり、GDPの約4%を構成している。

製造業、運輸業などは不況に入っており、そしてエネルギー分野では深刻な恐慌状態となっている中で、外食産業は比較的元気であった。

しかしここに来て、毎日のように発表される大量解雇、コスト削減で、外食という娯楽に対して米国人は二の足を踏むようになったのかもしれない。

(ア)RPI指数(外食産業指数)の推移グラフ。2015年末の大幅下落が金融危機前の大幅下落に類似しているとの分析。

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(イ)紺色の太線グラフが現況指数。赤色細線グラフが期待指数。

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今後、外食産業でも不況となれば、製造業からの失業者や大学新卒の受け皿が消えるだけでなく、外食産業からの失業者も出てきます。

ここ数年間の非農業部門雇用者数(米雇用統計)は、ウェイター、ウェイトレスの非正規雇用数の増加で上手に誤魔化してきたのですから、これは大きな地殻変動となります。

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