「借金で裕福になろうとすると、かえって貧しくなる」
次は、借金をして投資を行うことの怖さを述べたものです。ここで言う借金とは、ローンのことではなくて、レバレッジ(信用取引)のことです。
レバレッジとは、少ない元手を証拠金として預ける代わりに、運営会社から借金をして取引を行うことを言います。
《名言ピックアップ その2》
「借りたお金を元手に投資して、かなり裕福になる人はいます。しかし、そうしたやり方は一方でとても貧しくなる道でもあるのです」
出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)
現在、世界3大投資家と呼ばれている、バフェット氏、ジョージ・ソロス氏、ジム・ロジャーズ氏の3人の中で、レバレッジを使わずにお金持ちになったのは、バフェット氏だけです。
ソロス氏とロジャーズ氏は、もとは同僚の間柄で、どちらもレバレッジを使って富豪になりました。
かつて、ソロス氏とロジャーズ氏の2人は、コンビを組んで運営していたヘッジファンド会社で、10年間に4,000%を超えるリターンを叩き出しています。
けれども、ロジャーズ氏がソロス氏と袂を分かち、37歳という若さで引退したのも、レバレッジによる心的負担があまりにも大きかったからだ、と言われています。
現在は、株取引やFX(外国為替証拠金取引)などで、一般投資家も気軽にレバレッジを使った取引ができる時代です。
特にFXでは、日本の運営会社の場合で最大25倍のレバレッジがかけられるため、「投資に失敗して多額の借金を抱え込んでしまう人がいる」と度々、問題になってきました。
これを受け、金融庁ではFXのレバレッジを10倍に引き下げる案を検討していましたが、業界の反対に遭い、2018年5月にその案を見送っています。
なぜ、業界側が規制強化に反対したのかと言うと、レバレッジの倍率を高くしたほうが儲かるからです。
レバレッジは癖になる
バフェット氏は、レバレッジについてこう述べています。
レバレッジがうまくいくときは、利益が大きくなります。あなたの妻はあなたを賢いと思い、隣人は羨望のまなざしを向けるでしょう。
しかし、レバレッジは癖になるのです。この驚くべき手法でひとたび利益を上げた経験を持つと、ほとんどの人は保守的なやり方に戻れません。
出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)
簡単に言ってしまうと、「味を占める」わけです。
こんな話があります。バフェット氏がまだ16歳だった頃、ある日、1人で競馬場へ行き、1レースで予想を外してしまいました。
本来であれば、そこで帰るべきでしたが、帰らずに賭け続け、ほぼ一文無しになってしまいます。
後になって、氏は当時のことを振り返り、以下のように自戒しています。
損を出して、プラスマイナスゼロに持っていこうとしたのが間違いだった。
出典:『スノーボール(改訂新版)〔上〕──ウォーレン・バフェット伝』(著:アリス・シュローダー/訳:伏見威蕃/刊:日経ビジネス人文庫)
この失敗は、一般投資家がレバレッジにはまり込んでしまう状況とまったく同じです。
出してしまった損失を取り返そうと、足りない分をレバレッジで補ったりすれば、たちまち損失が膨らんでいきます。