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安倍政権「消費増税の影響は小さい」は大嘘、庶民は必死に生活防衛している=斎藤満

10月のデータに反落

実際、まだ限られたデータしかありませんが、10月の結果が判明している一部の消費データには、明らかに「反落」が見て取れます。

まず、駆け込み、反落の影響を緩和するために10月から減税手当てをした乗用車販売を見ると、9月の登録台数が前年比13.6%増と、8月の4.9%増から大きく高まった後、10月は25.1%減と、大きく反落しています。

また百貨店売り上げも9月には高額品を中心に大きく伸びましたが、大手5社についてみると、9月の売り上げが前年比26.8%増となったあと、10月は18.6%減と、やはり大きく反落しています。

自動車も百貨店売り上げも、消費増税以外に10月は異常な豪雨で店舗が閉鎖されたり、営業時間が縮小したりという天候要因もあったと見られます。

そこでこれらの影響が比較的小さいと見られるナウキャストのJCB消費ナウや、日経CPIナウでスーパーの売り上げをみると、いずれも9月の前年比9%台の増加から、10月は6%余りの減少となっています。

結局、大方の予想に反して、最後には相応の「駆け込み」があり、その反落の影響が実際に見られます

今後に出るほかの指標でも、同様の弱い動きが予想されます

台風の影響が追い打ち

10月以降の消費データには、この消費税前の駆け込みの反動、増税による実質購買力の低下がダブルで効いてくるうえに、今回の台風並びに豪雨災害の影響も出ます。

3つの重しが当面の消費を抑制します。

そして台風被害の修復コストが、消費増税とは別の形で被災者のコスト増となります。このコストは、一部住宅の修理として「住居費」の増加をもたらし、家財の買い替えが消費支出を増やす面があります。

前者は主に11月以降住宅関連支出の増加をもたらす一方、後者は一部10月から買い替えの影響が出る面がありますが、これは被災者の購買力を大きく圧迫します。

その購買力圧迫が、その後かなり長期間消費を圧迫する可能性があります。10-12月の個人消費には災害による大きなマイナス効果と、使えなくなった家財の買い替えが重なる面があり、年明けにはこの損失効果がしばらく尾を引くと見られます。

災害復旧が進む過程では「復興需要」も出ますが、これは主に公共事業分野と住宅投資が中心となります。一方、個人消費面では、被害を受けた家財の購入を考えても、当面はマイナス面がより大きいと見られます。

政府は急遽、台風被害を「激甚災害」指定し、政策支援に乗り出しましたが、応急住宅修理に向けての居住者への救済の多くは12月以降にずれ込み、景気対策では電線の地下埋め込みなどを計画しています。

これらは年明けのGDPに反映される可能性があります。この結果、今年10-12月期のGDPは大きなマイナス成長となる可能性があります。

Next: 消費増税のダメージは小さくない。「歴代最長」安倍政権には厳しい船出

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