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「日本売り」を決めた外資に、年金と個人投資家は敗北する=E氏

外国人投資家は完全に「日本売り」

次の外国人投資家は、年明け後は中国発のリスクオフで日本株の売り姿勢を強めていましたが、欧州金融機関不安が和らいでからは、世界的なリスクオンに乗じて売り越し額が減少傾向にありました。しかし、この数週間はこの5年で最大の売り越しとなりました。

あまりにも額が大きかったので、ロールオーバーに絡んだテクニカルなものと思っていましたが、翌週も売り越しが続いています。

対内証券投資で見ると、株売り/円債買いでネット売り越しを続けていましたが、直近週は債券も売り越しています。

完全に日本売りです。

日米欧の中央銀行による通貨安競争で日銀が負けた以上、円は買われやすくなるため、日本株は外人から見ると「売りやすい」対象です。

今後仮に日本株を買い越しにすることがあっても、それは強気だから買うのではなく、全世界的にリスクオンなので、自動的に増やすだけでしょう。

アベノミクス以降ずっと外資は日本株を買い越していましたが、日経平均先物の外資合計の建玉残高がショートに転じたのは昨年6月からです。昨年6月以降、外国人投資家が急激に日本株に対してネガティブになった点は以下の通りです。

  • 追加緩和期待が消えた→再び醸成→ しかし、やっても効果ないと舐めている
  • 政権支持率の低下→当初は安保、今は小康状態
  • アベノミクスへの疑念(成長戦略がいつの間にか財政再建に代わってしまった)
  • 隣に中国がある
  • (新)政局混乱、舌禍事件も多発
  • 日銀の信認低下

先週のECBの追加緩和が出尽くし的に取られたことでユーロも買われやすくなりましたが、ユーロは欧州金融機関という真の爆弾(やオイルメジャーの経営不安の噂もある)が控えているし、隣に中国がないので仕掛けにくいです。

これに対して日本株は財政期待などのポジティブ要因もありますが、昨年6月以降、アベノミクスはすでに終りという認識を持たれてしまっているので、見方を変えて強気になるにはしばし時間が必要かと思われます。

昨年以降で外国人投資家が売り越しに転じたのは、1月下旬からのギリシャ問題時、3月下旬からの世界的な利益確定相場、4月下旬からの欧州債券安 をきっかけにした世界的な株価調整、そして8月の世界的な株安しかありませんが、そのいずれも「押し目なのに関わらずに売っている」のです。

彼らは値段がいくらになっても、リスクが出た場合は売ります。「リスクと水準を天秤にかけて押し目買い」なんて絶対にしません。

特に、リスクオフのメイントリガーである中国は日本の隣に位置しますので、外人は日本への影響を非常に気にしていますし、中国株のショートが危険(当局に拘束される可能性がある)なので、代わりに日本株をショートする動きも出ています。

また、世界的なリスクオフ時は円高がさらに加速するため、堅調と思われていた企業収益も下方修正してしまうことから、新興国危機に日本株はリンクしやすいのです。

買い向かう信託銀行と個人投資家は投げさせられる

従って、きっかけは新興国危機か何か判りませんが、一旦世界のマーケットの楽観に修正が入ると、外資の日本株売りに拍車がかかるでしょう。これは信託銀行と個人投資家の投げによるセリングクライマックスが起きるまで続くでしょう。

個人投資家はずっと方向感がない状態が続いていましたが、信託銀行同様に2万円から買い下がり始めてしまいました。そして、年明けからの株安にも関わらず個人投資家は猛然と買い向かい出し、一旦終息したものの、2月に入り再度買い越しに転じています。

Next: マーケットの信認を失った黒田日銀には、もはや期待できない

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