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韓国、新型肺炎で3度目の経済危機へ?カギを握るのは崖っぷちのウォン相場=勝又壽良

中国で問題が起これば、韓国経済が「ひっくり返る」

前記のように中国朝鮮族を介して、韓国は中国の「延長」のような位置づけになっている。これが、韓国の消費行動に特別の影響を与えている。

中国が感染源であったSARS(2003年)では、韓国の経済成長に次のような影響を与えた。SARSは2012年11月に発症し、2013年初めから韓国経済に本格的な影響を及ぼした。

韓国経済の実質GDP成長率(前期比)推移
2002年07~09月期:+2.0%
2002年10~12月期:+1.1%
2003年01~03月期:− 0.7%
2003年04~06月期:− 0.2%

02年7~9月期は前期比2.0%成長率であった。それが、翌10~12月期はほぼ半減している。03年に入ると2・四半期連続のマイナス成長に落込んだ。02年の実質GDP成長率は7.7%であった。03年にはそれが半減して3.2%に落込んでいる。

これは、中国で問題が起これば、韓国経済が「ひっくり返る」現実を見せつけている。

03年当時、好調だった輸出も5月に大きな影響を受けた。同年の月別輸出は1~4月はいずれも前年比20%前後の増加率を見せたが、5月の増加率は3.5%にとどまった。

現在は、2018年12月から輸出全体がマイナスに落ち込んでいる。中国向け輸出不振が大きく響いて、今年1月は前年同月比6.1%減である。14カ月連続のマイナスである。

このように、SARS発症時と比べて、現在の輸出環境は格段の悪化である。SARS時には、韓国でのSARS感染者が03年4月に初めて現れた程度であった。今回は、1月から多数の感染者である。

韓国国民の受けているショックは、SARS以上と言わざるを得ない。

止まらぬ経済崩壊、文政権も窮地へ

今後の韓国経済は、どのような影響を受けるか。

これまで私は、中国の実質GDP成長率が、今年は1%ポイントの低下と見れば、これまでの「定石」通りのパターンで、その半分の0.5%ポイント低下と予想してきた。

だが、上述のような過去の展開と現在の状況を重ね合わせると、もっと違った悲観的なシナリオを考えざるを得なくなっている。詳細は、後で取り上げる。

韓国は、昨年の実質GDP成長率が2.0%であった。これは、10~12月期に短期のアルバイト雇用を増やした応急措置の結果である。一昨年も同じ手を使った結果、昨年1~3月期はマイナス成長になっている。

このことから、今年1~3月期も同様に、マイナス成長に落ち込む。さらに、今年は中国の新型コロナウイルスという悪条件が加わる。輸出も低迷している。

03年1~3月期の実質GDPは、前期比マイナス0.7%に止まった。今年1~3月期は、03年同期をはるかに超えるマイナス幅だ。

韓国の受けるショックは特別大きなものになろう。

今年4月15日は、韓国総選挙である。選挙前に1~3月期の大幅マイナス成長率が発表されれば、与党は大打撃を受ける。これを見越してGDP発表を遅らせば、野党とメディアに総攻撃を受ける。

いずれにしても、文政権は窮地に立たされ「レームダック化」だ。

これまでのように「積弊一掃」を声高に言う元気を失い、ひたすら守りに徹する政治を余儀なくされよう。野党と攻守ところを変える政治模様が想像できる。

Next: 韓国経済の運命は中国次第。中国にできることはまだあるか?

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