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韓国、新型肺炎で3度目の経済危機へ?カギを握るのは崖っぷちのウォン相場=勝又壽良

中国の成長鈍化は確実

香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』は、中国専門研究機関分析を引用し、今年1~3月期のGDP成長率は最大で4%へ下落すると報道した。一般的にも、「1~3月期4%成長説」が出ているので驚くほどでない。

その場合、中国政府は、

(1)大規模な財政出動
(2)政策金利の引き下げ
(3)不動産購入規制の撤廃

などの景気刺激政策を発動させる可能性が予想されている。

これは、中国経済の「カンフル剤」に過ぎない。一時的に効果があっても、債務残高を増やすだけで終わるであろう。

(1)大規模な財政出動は、インフラ投資が飽和状態で無益。減税による消費刺激も家計の過剰債務で効果は少ない。
(2)政策金利の引き下げは、人民元相場の下落に拍車をかけ、外貨流出を促進させる。
(3)不動産購入規制の撤廃は、投機用住宅購入を再燃させ価格下落時の傷を深くさせる。

要するに、かつてのような効果は期待できない。

日本は、バブル経済崩壊(1990年)後に長い不況のトンネルを経験させられ、「失われた20年」という屈辱に甘んじた。経済構造がバブルによる水ぶくれ状態であったからだ。

中国も同じ泥道を歩むほかないだろう。中国だけ、バブル経済後遺症に特効薬があるはずがない。この現実を、早く受入れ「手術台」に乗ることである。

韓国は中国と一蓮托生の危機へ

中国経済の規模と影響力は大きくなっている。2003年、世界GDPに占める中国GDPの比率は4.3%であった。昨年は16.3%にも達している。韓国の対中貿易依存度は、2003年の18.1%から、昨年は25.1%へと7%ポイントも増えている。これは、韓国経済が、中国経済の動向から受ける影響度合いの増加を意味する。

中国が、すでに潜在成長率の低下局面にある。ここで受ける新型コロナウイルスの悪影響は、SARS時の潜在成長率上昇局面時と「天と地」である。

この認識は、当の中国はもとより海外にあるだろうか。私は、その認識のきわめて希薄なことが、事態の解決を誤らせると危惧する。それは、日本経済の辿った道からも十分に言える点なのだ。

韓国の新型コロナウイルスから受ける悪影響は、きわめて大きいであろう。今年1~3月期のマイナス成長は不可避であり、4~6月もその影響から抜け出せないだろう。

韓国の内需が、最低賃金の大幅引き上げと週52時間労働制の桎梏(しっこく)に苦しみ、輸出減少分をカバーできないとすれば、今年の通期成長率は1%見当まで低下する公算があろう。

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