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政府統計「不正」準備万端?景気悪化を認めぬ安倍政権が数字のお化粧方法を密かに告知=斎藤満

数字のお化粧方法を内閣府が告知

内閣府のホームページの四半期国民所得の修正方法について、一応、次のような断りを入れています。

つまり、2019年7-9月と10-12月期においては、耐久財、半耐久財、非耐久財の消費データについて季節調整する際、加法型異常値処理のダミー変数を設定する、と言っています。一般国民が読んでも何のことやらさっぱりわからないと思います。
※参考:2019年7-9月期四半期別GDP速報(1次速報値)における推計方法の変更等について(PDFファイル)

要するに、7-9月と10-12月の消費データのうち、「モノ」の消費が異常に弱く出た場合、これは実勢ではないとして、数字の穴埋めをすることです。 

問題は、その「異常」の評価で、統計処理上実態とは異なる制度上の特殊要因、例えば休日の数が例年より1日多いと言った問題や、明らかに一時的な特殊要因で数字が飛んでしまうような場合には、これを異常値として排除することはあります。

しかし、消費税を引き上げたために消費が落ち込んだり、台風や自然災害で消費が落ち込んだり、といったケースは「一時的な異常値」ではありません。

つまり、しかるべき理由があり、実態のある落ち込みについては、安易にこれを排除すべきではありません。

昨年7-9月、10-12月という時期は、自然災害や消費税引き上げによるかく乱があった時期で、相応の理由があり、実態のあった時期で、それをトレンドから見て大きく落ち込んだというだけで、「ダミー変数」で穴埋めしてしまうと、化粧を通り越して実態隠しとなる「禁じ手」です。プロの統計処理担当者、エコノミストは、決してこれに手を染めてはいけません。

この「ダミー変数」で処理した場合、「台風や消費税引き上げが無ければ、これくらい増えていたはずだ」という架空の姿が描かれるのですが、現実には台風があり、消費税引き上げがあり、それによって消費や生産が落ち込みました。

それを消費だけ化粧して落ちなかったことにしても、生産などほかの指標と整合性がとれなくなります。

雇用者報酬も過大推計か

この個人消費と関連する指標に、GDP統計の中の「雇用者報酬」があります。これは1人当たり賃金と雇用者数から推計した「労働者の総所得」を表します。これが増加基調を維持しているので、消費環境は良いはずだ、というのが政府の判断です。

ところが、この「雇用者報酬」と、財務省の「法人企業統計」の「人件費」とが、昨年春以降大きく乖離しています。

例えば、直近4四半期の数字を追ってみると、雇用者報酬(名目)の前年比増加率は、18年10-12月から順に3.3%、1.7%、2.3%、1.6%増となっていて、確かに政府が言うように「堅調な増加」を維持しています。

これに対して、「法人企業統計」の人件費の伸びは、同じ期間で、3.1%、1.6%、マイナス0.7%、マイナス1.8%となっています。

昨年1-3月まではほとんど差がありませんが、4-6月以降、企業が実際に支払った人件費が減少に転じた一方、GDP統計の雇用者報酬は増加が続いていると推計しています。

法人企業統計は、資本金1千万円以上の企業が実際に支払った額を集計し、企業全体のおよそ7割をカバーしています。残りの3割は中小零細企業で、彼らがよほど大幅に人件費を増やしていない限り、雇用者報酬の伸びが高すぎることになります。

もちろん、法人企業統計の調査サンプルが変わることで、増加率に落差が生じますが、売り上げや利益の数字で、サンプル誤差はさほど見られません。

すると、雇用者報酬の数字に疑問が出ます。この基礎統計は昨年問題になった厚労省の「毎月勤労統計」による1人当たり賃金と総務省の「労働力調査」の雇用者数です。「毎月勤労統計」は調査上の齟齬があって連続性がないと自ら認めています。

結局、法人企業の人件費の動きがより現実を示している可能性があり、政府の「所得から支出への前向きな循環」は働いていない可能性があり、消費堅調との判断根拠も希薄になります。

Next: 役人に「安倍離れ」現象? 弱い数字がそのまま出てくる可能性も

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