プーチン大統領の発言に世界が動揺している。ついに世界に先駆けてコロナ用ワクチン「スプートニク5」を完成させたと発表。自身の娘にも投与したというのだ。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
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国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
「自分の娘にもワクチンを投与した」自信満々のプーチン
プーチン大統領の発言に世界は戸惑いを隠せない。
世界中で感染が拡大し、死者も増え続けている新型コロナウィルス(COVID-19)であるが、ロシアはアメリカ、ブラジル、インドに次いで世界で4番目の感染者数約100万人を抱えている。
プーチン大統領とすれば、国内的な不安感を払しょくしなければ、政権の維持にも暗雲が立ち込めるとの危機感にさいなまれてきたようだ。
そこで国内の研究者を総動員し、ついに世界に先駆けてコロナ用のワクチン「スプートニク5」を完成させたというのである。
記者発表を行ったプーチン大統領は自信満々で、「自分の娘にもこのワクチンを投与した。直後に少し熱が出たが、翌日には平温に戻った。安全性には問題なさそうだ。これから増産し、10月から医療関係者や学校の先生たちに優先的に投与したい。年明けには希望する国民全員に提供できるだろう」と「世界初」に力を込めた。
世界中の識者が懐疑の目で見つめる
確かに世界中で2,000万人を超える感染者が発生し、死者もうなぎ上りとなれば、一刻も早く治療薬やワクチンの開発が求められる。各国の研究者や製薬メーカーがしのぎを削っているわけだ。
ビル・ゲイツ氏でさえ「早くて年末か年明け」と予測しているワクチンである。WHOのテドロス事務総長に至っては、「開発を期待するが、永久に無理かも」と慎重な姿勢を見せている。
にもかかわらず、先週のプーチン大統領による「世界初のワクチン開発成功」の勝利宣言。
短期間の開発で、治験者の数も38人と少なく、しかも実験データの開示は一切なし。
そのためか、ドイツ、フランス、スペイン、アメリカなどの医療関係者の間では「にわかには信じがたい」と首をかしげる反応が専らだ。
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