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大混乱の全国旅行支援、事前予約が対象外になるケースも。庶民からは「富裕層とワクチン接種者へのご褒美」との冷ややかな視線

11日よりスタートした観光需要の喚起策「全国旅行支援」だが、それを巡り各所で混乱が起きているようだ。

東京都を除く46道府県で始まった「全国旅行支援」は、新型コロナのワクチンを3回接種した人などを対象に、ホテルや旅館などの宿泊費を交通付きなら8000円、宿泊のみでも5000円を上限に、最大40%国が負担するというもの。さらに平日の宿泊なら3000円、休日だと1000円分の地域クーポンも1泊ごとに付いてくる。

運営は都道府県別となり、原則「12月20日まで」あるいは「予算がなくなった時点」で終了ということで、大手旅行サイトには予約のためのアクセスが集中した模様。一部のサイトでは、一時つながりにくい状態になったとのことだ。

事前予約者から「割引されない」との声も

今年9月に突如としてその話が持ち上がり、当初計画されていた9月中のスタートはさすがに叶わなかったものの、この10月のタイミングに大急ぎでのスタートとなった全国旅行支援。

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2020年に実施された今回と同趣旨の観光需要喚起策「GoToトラベル」が政府によって取り仕切られたのに対し、今回の全国旅行支援は各都道府県が事業主体となって進められることに。そうすることで、地域ごとの感染状況に対応して、事業実施の判断が臨機応変に行えることができるという。

ただ各都道府県が事業主体となったことで、制度のマニュアルがそれごとにバラバラとなるという複雑なものに。さらに、全国旅行支援の話が浮上してわずか1か月ほどのスタートということで、旅行予約サイトや代理店側にくわえ、宿泊施設側も制度の習熟にかなり手間取っているとのもあり、そういったことも今回の混乱に繋がっているようだ。

このように旅行予約サイトへのアクセスがままならないといった状況下で、一部サイトでは人気の都道府県が予算の上限に達し、割引の受付をすでに終了したというところが早くも出てきている状況

また今回の全国旅行支援に関しては、10月11日以前の予約でも、後から申請すれば適用の対象になるとアナウンスされていたことから、事前予約をしていたという人も多かったようだが、今日になりその肝心の“事前予約の割引申請”の連絡が来ない、または利用条件が適合せず適用外だったというケースも頻発しているようで、「話が違う」といった声もチラホラとあがっている。

さらに宿泊施設のなかには、“割引されている”と勘違いしたまま訪れた客とのトラブルが、今後多発するのでは……と危惧しているところも。ドタバタ気味に始まったがゆえに多発している全国旅行支援を巡る混乱だが、開始直後の今のタイミングだけでなく、今後も各地で続発していきそうな情勢だ。

約8300億円の経済効果が見込まれるものの……

このように、まさに狂騒曲といった騒ぎとなっている今回の全国旅行支援だが、このところは折からの物価高で家計が困窮し、旅行に行く余裕など全くないといった世帯も少なくなく、そういった層は完全に蚊帳の外とされているといった状況。

一部シンクタンクからは、計約8300億円の経済効果が見込めるとの試算も出ている全国旅行支援ではあるものの、その恩恵に預かれる層はさほど広くないのではとの指摘も多く、そんなことに多額の予算を投じるなら消費税減税を……という声も根強い。

さらに今回の全国旅行支援だが、都道府県ごとに対応の違いがあるものの、原則としてコロナワクチンを“3回以上接種した人”が対象になるとのことで、このことに関しても「差別だ」と批判する声が噴出している状況。

さながらレジャーにお金を費やせる余裕がある富裕層と、ワクチン3回摂取済の模範国民に対しての“ご褒美イベント”との見方も広がりつつある全国旅行支援。それだけに、怨嗟の声が広がるのも当然といったところだろう。

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